著者
田崎 和江 中西 孝 鈴木 祐恵 佐藤 和也 森井 一誠 鈴木 健之
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科學 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.343-361, 2007-09-25
参考文献数
24
被引用文献数
2

2007年3月25日9時41分にマグニチュウド6.9の激震が石川県能登半島を襲い,舗装道路に大きなダメージを与え,交通網が寸断された.本研究調査団はGMサーベーメータを使用し,車によるカーボーン法と徒歩によるハンドボーン法の併用により,能登半島地震災害地の空間β線と舗装道路の亀裂,陥没,隆起,地滑り地帯におけるβ線を測定した.測定日は2007年4月4日から19日の間の4回であり,約240kmの距離を2-4台のGMサーベーメータで,毎回同じルートを往復して測定した.また,地震の被害がなかった金沢市内においても4月12日に測定を行い,災害地と比較した.2007年4月4日8:20に輪島市大沢において2300cpmを記録し,同日の13:20には古和秀水にて1500cpmを記録した.これはともにM3.8,深さ10km,震源地37.2N,136.7E,およびM3.3,比較的浅い震源37.2N,136.5Eの余震に合致した,舗装道路の亀裂,陥没,隆起,液状化の箇所は100-200cpmと高い値を示し,かつ,その場の大気はそれ以下であった.一方,地震被害のなかった金沢市内は40-80cpmと低い値を示した.空間β線計数率分布地図は地震の被害が大きい地域で高く,時間が経過するに従い低下することが明らかになった.