- 著者
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長沼 宏
小河原 忠彦
後藤 振一郎
松本 由朗
須田 耕一
茂垣 雅俊
鈴木 範美
- 出版者
- 日本胆道学会
- 雑誌
- 胆道 (ISSN:09140077)
- 巻号頁・発行日
- vol.4, no.4, pp.509-514, 1990
イレウスの原因となった胆石が,きわめてまれな性状であった症例について,胆石の形成過程を考察し報告する. 症例は78歳女性. 突然の悪心, 嘔吐に続いてイレウス状態となり緊急に開腹したところ,4.5×3×3cmの胆石塊による回腸の閉塞で,胆嚢十二指腸瘻から消化管に逸脱したものであった. この胆石塊は直径1~1.5cm の混合石10個が胆石構成成分と同様の成分物質で接合され,gallstones in a giant gallstoneの状態となったものであった,成分分析の結果,小結石は多量のコレステロールと少量のビリルビンカルシウムから構成されている混合石であり,接合物質は,混合石よりは色素成分が多いがほぼ同じ構成成分からなるものであった.この胆石の形成機序は患者の生活史と密接に関係しているものと考えられ,興味ある症例と思われた.