著者
長沼 宏 小河原 忠彦 後藤 振一郎 松本 由朗 須田 耕一 茂垣 雅俊 鈴木 範美
出版者
日本胆道学会
雑誌
胆道 (ISSN:09140077)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.509-514, 1990

イレウスの原因となった胆石が,きわめてまれな性状であった症例について,胆石の形成過程を考察し報告する. 症例は78歳女性. 突然の悪心, 嘔吐に続いてイレウス状態となり緊急に開腹したところ,4.5×3×3cmの胆石塊による回腸の閉塞で,胆嚢十二指腸瘻から消化管に逸脱したものであった. この胆石塊は直径1~1.5cm の混合石10個が胆石構成成分と同様の成分物質で接合され,gallstones in a giant gallstoneの状態となったものであった,成分分析の結果,小結石は多量のコレステロールと少量のビリルビンカルシウムから構成されている混合石であり,接合物質は,混合石よりは色素成分が多いがほぼ同じ構成成分からなるものであった.この胆石の形成機序は患者の生活史と密接に関係しているものと考えられ,興味ある症例と思われた.
著者
鴛海 元博 森田 紀代造 橋本 和弘 水野 朝敏 高倉 宏充 長沼 宏邦
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.425-427, 2002-11-15 (Released:2009-08-21)
参考文献数
10

僧帽弁逸脱症は腱索断裂を比較的高頻度に合併するが,感染性心内膜炎やMarfan症候群の合併なく急激に僧帽弁閉鎖不全を発症し,急性左心不全さらに,心停止にいたることは希である.今回,突然の急性左心不全にて発症し,救急外来受診直後心停止をきたした僧帽弁腱索断裂を伴う急性僧帽弁閉鎖不全症の43歳男性に対し,緊急手術を施行し良好な結果を得た.本症例では術中に先天性大動脈二尖弁による高度の閉鎖不全症の合併が判明し,これによる慢性左室容量負荷増大に加え,急性の腱索断裂が心停止をきたすほどの急性左心不全を招来した一因と考えられた.