著者
渡邊 里香 荒木田 美香子 鈴木 純恵
出版者
Japan Academy of Nursing Science
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.52-61, 2010
被引用文献数
3

【目的】経験1年目と5年目の看護師の離職意向に影響する要因を検討し,若手看護師の職業継続のための職場環境づくりについて示唆を得ることを目的とした.<br>【方法】2007年9~10月に近畿・東海・関東圏の13病院に勤務する経験5年未満の若手看護師2,443名を対象に質問紙調査を実施した.今回の分析対象は,1年目347名と5年目240名,合計587名とした.<br>【結果】1年目,5年目に共通して離職意向と関連があった組織要因は,話しやすい雰囲気,学習意欲,休憩空間,夜勤回数,給料であり,個人要因は研修活用度であった.1年目のみ関連があった要因は助け合いと自尊感情であり,5年目のみは,話し合う場,役割達成意識,ケア物品,ケア設備,勤務の融通のよさ,年休取得率であった.<br>【結論】職業継続のための職場環境づくりのためには,話しやすい環境づくり,業務に見合った報酬の提供,休息の確保,個人的要因に配慮した学習環境の整備が重要である.さらに1年目では,教育体制の整備,5年目では話し合える場,ライフスタイルに合わせられる勤務体制の整備が重要であると考えられた.
著者
渡邊 里香 荒木田 美香子 鈴木 純恵
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.1_52-1_61, 2010-03-23 (Released:2011-08-15)
被引用文献数
5 3

【目的】経験1年目と5年目の看護師の離職意向に影響する要因を検討し,若手看護師の職業継続のための職場環境づくりについて示唆を得ることを目的とした.【方法】2007年9~10月に近畿・東海・関東圏の13病院に勤務する経験5年未満の若手看護師2,443名を対象に質問紙調査を実施した.今回の分析対象は,1年目347名と5年目240名,合計587名とした.【結果】1年目,5年目に共通して離職意向と関連があった組織要因は,話しやすい雰囲気,学習意欲,休憩空間,夜勤回数,給料であり,個人要因は研修活用度であった.1年目のみ関連があった要因は助け合いと自尊感情であり,5年目のみは,話し合う場,役割達成意識,ケア物品,ケア設備,勤務の融通のよさ,年休取得率であった.【結論】職業継続のための職場環境づくりのためには,話しやすい環境づくり,業務に見合った報酬の提供,休息の確保,個人的要因に配慮した学習環境の整備が重要である.さらに1年目では,教育体制の整備,5年目では話し合える場,ライフスタイルに合わせられる勤務体制の整備が重要であると考えられた.
著者
北尾 良太 鈴木 純恵 土井 香 清水 安子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.1_123-1_133, 2013

脳卒中者は,医療者の判断とは違う視点で自らの病いを経験している。本研究の目的は,回復期リハビリテーション病棟入院中での脳卒中者一人ひとりの病い経験がどのように成り立っているのかを,当事者の立場に立って記述することである。病いの経験の語りは,現象学的視座を手がかりに,医療者の枠組みでとらえることなく記述された。 3名の経験を本研究で記述(分析)した。彼らは,急性期では自身の意識がおかしいと自覚しない。彼らは,その朦朧としたなかで見たり感じた世界や,覚醒後に他者から聞いた自分の状況を織り交ぜながら,自身の発症時の経験をかたちづくっていた。そして彼らは,医療者とのかかわりを積み重ねていくなかで,あとで自身の病いの意味がわかってきていた。こうして彼らは自身の経験を更新し,回復期での療養行動に反映していた。看護師は,日々の看護実践が患者にどう反応されているのか,常に問い続ける姿勢をもってかかわる必要がある。