著者
一林 亮 鈴木 銀河 山本 咲 中道 嘉 渡辺 雅之 本多 満
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.559-563, 2020-08-31 (Released:2020-08-31)
参考文献数
17

目的:われわれは気管挿管下に人工呼吸管理を行った80歳以上の高齢者の予後に影響する因子を調査し,人工呼吸管理の是非を検討した。対象および方法:3年間で当院救命救急センターに現場から直接搬送され,気管挿管された80歳以上の患者95例を対象とした。診療録より日常生活動作,認知症の有無,APACHEⅡスコア,アルブミン値,28日間のventilator free day(VFD)などを後方視的に検討した。結果:患者95例のうち生存群55例,死亡群40例であり,多重ロジスティック回帰分析の結果,アルブミン値がオッズ比2.28869 で生存および28日間VFDに影響していた。結論:高齢者治療において人工呼吸管理をする場合,血中アルブミン値も参考に各施設でリスク・予後を評価する必要があると考えられる。
著者
本多 満 一林 亮 鈴木 銀河 杉山 邦男 坂元 美重 奥寺 敬
出版者
一般社団法人 日本神経救急学会
雑誌
Journal of Japan Society of Neurological Emergencies & Critical Care (ISSN:24330485)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.27-32, 2019-08-23 (Released:2019-08-24)
参考文献数
7

〔背景〕神経救急・集中治療におけるモニタリングである脳波を,時間外あるいは休日に意識障害患者が来院しても医師あるいは看護師により容易に施行することを可能とする簡易的脳波測定デバイスの開発を,2013年より日本臨床救急医学会ACEC委員会と日本光電社との共同研究により開始した。〔経過および現況〕開発に際して,ERにおける意識障害患者に対して脳波測定に不慣れな医療従事者においても簡単かつ迅速に脳波測定ができることを目標とした。これらをみたすデバイスを作製して脳波データをBluetoothⓇでモニターに電送してモニタリングすることが可能となった。〔今後の展望〕現在当施設において完成機が導入されているが,脳波の評価の難しさなどにより脳波に不慣れな医療従事者が十分使いこなしている状況ではない。しかし,このデバイスを用いて脳波測定中に脳波室に院内LANを用いて遠隔監視できるシステムを構築して問題点に対する対応を行っている。
著者
一林 亮 本多 満 鈴木 銀河 渡辺 雅之 野口 晃司 豊田 幸樹年 田巻 一義 籾山 浩一 原 規子 吉原 克則
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.593-601, 2019-08-31 (Released:2019-08-31)
参考文献数
14

目的:東京オリンピック・パラリンピック競技大会(以下,東京2020)に向けて,東京国際空港の利用客数の増加とともに,救急対応の質が求められる。われわれは空港における救急需要増加に対する方策を検討した。対象と方法:2014〜2015年にかけての空港からの搬送者を対象として東京消防庁の救急隊記録から,活動内容の解析を行った。結果:救急隊活動時間と空港内での活動時間を比較すると到着-接触時間,収容-出発時間が長く,国際線における収容-出発時間が延長し,2015年で17分を要した。考案:救急隊活動時間延長には救急医療体制に問題があると考えられる。到着-接触時間延長は空港の導線に問題があり,その間にfirst responderとしての職員の教育や空港内救急救命士などの介入が有用と考える。結語:東京2020に向けて救急活動における共通の課題として空港周辺医療施設,空港関係者で情報共有や対策作成が必要である。