著者
一林 亮 鈴木 銀河 山本 咲 中道 嘉 渡辺 雅之 本多 満
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.559-563, 2020-08-31 (Released:2020-08-31)
参考文献数
17

目的:われわれは気管挿管下に人工呼吸管理を行った80歳以上の高齢者の予後に影響する因子を調査し,人工呼吸管理の是非を検討した。対象および方法:3年間で当院救命救急センターに現場から直接搬送され,気管挿管された80歳以上の患者95例を対象とした。診療録より日常生活動作,認知症の有無,APACHEⅡスコア,アルブミン値,28日間のventilator free day(VFD)などを後方視的に検討した。結果:患者95例のうち生存群55例,死亡群40例であり,多重ロジスティック回帰分析の結果,アルブミン値がオッズ比2.28869 で生存および28日間VFDに影響していた。結論:高齢者治療において人工呼吸管理をする場合,血中アルブミン値も参考に各施設でリスク・予後を評価する必要があると考えられる。
著者
渡辺 雅之
出版者
大東文化大学大学院文学研究科教育学専攻
雑誌
教育学研究紀要 (ISSN:18849202)
巻号頁・発行日
no.9, pp.33-47, 2018-09

問題なのは過激な言動を伴うヘイトスピーチの底流にあるカジュアルヘイトである。もっともこの言葉は学術的に定義されているわけではない。もともとヘイトスピーチを批判し、路上や言論市場でたたかってきた野間易通(C.R.A.C. )や中野晃一(上智大学)らによって、ネット媒体等で使用されている造語である。(図1.参照)渡辺雅之や安田浩一らも2014年頃から、反差別イベントにおける講演・講座でカジュアルヘイトという言葉を使用し、日常の中に潜む差別問題を指摘している。同じ含意のものとしてマイクロアグレションがあるが、これはヘイトスピーチに限定されるものではなく、ジェンダーバイアスなど差別問題に対する構造的かつ包括的な概念で使用されている。そのため、本論においてはヘイトスピーチの問題性を明らかにするために、カジュアルヘイトという概念を用いることにする。カジュアルヘイトとはどのようなものか、その実例を示しながら、どのような問題が潜んでいるかを明らかにするのが本稿の目的である。
著者
小野 三嗣 渡辺 雅之 長尾 憲樹 池田 道明 山本 隆宣 小野寺 昇 田中 弘之 原 英喜 湊 久美子 大橋 道雄
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.191-204, 1980-12-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
48

低糖高蛋高脂食をあたえた青年健康男子5名に20km走を行わせ, それが血圧, 心拍数, 体重, 皮脂厚, 血液成分, 尿所見の経過に如何に反映するかを見ると共に, タウリン投与がそれをどのように変動させるかを二重盲検法によって研究し, 概ね次のような所見を得た。1) 20km走による体重減少度はタウリン投与時の方がプラセボ投与時より多かった。2) 20km走による最大血圧上昇度はタウリン投与時の方がプラセボ投与時より少なかった。3) 20km走後に上昇してくるCK-MB/CK比はタウリン投与によって減少させることができた。4) 20km走によるLDHの増加率はプラセボ投与時よりタウリン投与時の方が小さい。5) プラセボ投与時には20km走によってトリグリセライドが上昇したが, タウリン投与時には減少した。6) タウリン投与は20km走による個々の脂肪酸構成比に大きな影響をあたえる。7) 20km走によるアドレナリン値はタウリン投与時の方が大きい。8) その他の血液成分や尿中カリクレインに対しては有意の変動が見られなかった。
著者
一林 亮 本多 満 鈴木 銀河 渡辺 雅之 野口 晃司 豊田 幸樹年 田巻 一義 籾山 浩一 原 規子 吉原 克則
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.593-601, 2019-08-31 (Released:2019-08-31)
参考文献数
14

目的:東京オリンピック・パラリンピック競技大会(以下,東京2020)に向けて,東京国際空港の利用客数の増加とともに,救急対応の質が求められる。われわれは空港における救急需要増加に対する方策を検討した。対象と方法:2014〜2015年にかけての空港からの搬送者を対象として東京消防庁の救急隊記録から,活動内容の解析を行った。結果:救急隊活動時間と空港内での活動時間を比較すると到着-接触時間,収容-出発時間が長く,国際線における収容-出発時間が延長し,2015年で17分を要した。考案:救急隊活動時間延長には救急医療体制に問題があると考えられる。到着-接触時間延長は空港の導線に問題があり,その間にfirst responderとしての職員の教育や空港内救急救命士などの介入が有用と考える。結語:東京2020に向けて救急活動における共通の課題として空港周辺医療施設,空港関係者で情報共有や対策作成が必要である。
著者
小野 三嗣 宮崎 義憲 渡辺 雅之 原 英喜 湊 久美子
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.114-121, 1981-04-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
5
被引用文献数
2 3

保健体育科男女大学生, 大学における運動部員, 中年までの肉体労働者及び事務職員, ウェイトリフターに反復握力の計測を行った結果, 概ね次のような成績を得た。1) 女子は男子より握力反復計測による維推率が小さいが, 両性とも朝・夕での差はなかった。2) 大学運動部員の場合, 野球部員の維推率は大きく, 柔道部員がこれに次ぎ, バレーボール, テニス部員などはそれが小さかった。3) 中年までの男子の場合, 肉体労働者の維推率は大きく, 事務職者の場合は小さかった。4) ウェイトリフターは経験の少ない若い選手の方が, 鍛練度の進んだ選手よりも握力反復による維推率が小さかった。5) 右手と左手の反復握力による維推率には, スポーツ種目により若干の傾向差が見られるものもあるが, 他種目との比較の場合より少なかった。ただし個人では左右で大差の認められるものもあった。6) 最大握力と反復測定による維推率との間には有意の相関が認められなかった。