著者
鈴木 雅恵 与那覇 晶子
出版者
京都産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は日本の近代化と、沖縄の大和への同化の歴史と共にはじまった、沖縄芝居の特異性、および現在の位相について、大和(特に京都)と沖縄双方の視点から考察し、世界演劇の中に位置づけよう、という研究の一部である。今回は特に、広義の意味での「沖縄」演劇(ウチナーヤマトグチによる現代劇や、映画化された沖縄発のアメリカン・ミュージカルも含む)における、広義の意味での「女優」(舞踊家や、花街や辻の芸能者を含む)の表象について考察し、さらに他のアジア圏や西欧の例と比較することを目的とした。当プロジェクトの主たる成果は、代表者・分担者が主となって、沖縄県男女参画センターにおいて2007年11月23日から25日まで開いた日本演劇学会の秋の研究集会であるといえる。特に、11月24日に、当プロジェクトの成果発表の場として「演劇(芸能)における女優の表象」というタイトルでおこなったシンポジウムは、メンバーの他、沖縄を代表する女優の北島角子氏をはじめ、現役の女性歌劇団員、大阪の歌舞伎研究者、戦後50年間存在した沖縄の女だけの「乙姫劇団」出身の古代宗教研究家等を研究協力者にむかえ、貴重な証言を記録することができた。また、それに先立っておこなわれた「対談」では、芥賞作家の大城立裕氏から、彼の創作した新作組踊における女性像について、貴重な話を聞きだすことに成功した。こうした内容は、地域の人々にもオープンにし、広く研究の成果とその課題を提示することができた。さらに、代表者と分担者は、京都の花扇太夫や女性能楽者、フィンランド・デンマーク・英国・香港の研究者・演出家・女優などに取材して、沖縄演劇における「女優の表象」を相対化することに努めた。特に代表者が宮古島の舞台で、男性の能楽研究者に混じって地謡を勤めた経験は、「芸能する女性」のグローバルかつローカルな表象を、新たな観点から再検討するきっかけとなった。
著者
鈴木 雅恵
出版者
京都産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、東アジアのシェイクスピア受容について英文で発信するためのプロジェクトの一環であり、「日本」のシェイクスピアの受容を、伝統演劇の典型としての能と、「日本」とほかのアジアの国々をつなぐ接点としての沖縄の芸能に広げているところに特徴がある。本プロジェクトの期間中には、シェイクスピアを本説とした泉紀子氏の「新作能・マクベス」の英訳や「新作能・オセロ」の研究、「琉球歌劇・真夏の夜の夢」の解読、新作組踊の調査や沖縄演劇の歴史に関する英文論文の執筆などを行った。
著者
与那覇 晶子 鈴木 雅恵 天野 文雄 當間 一郎 幸喜 良秀 高江洲 義寛 狩俣 恵一 板谷 徹 新城 亘 玉城 盛義 伊良波 さゆき 吉田 妙子 前田 舟子 伊野波 優美 MAZZARO Veronica
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

「組踊の系譜」のプロジェクトは、琉球・沖縄芸能の近世から現代に至る通史的な大きなテーマである。2004年に開場した「国立劇場おきなわ」の劇場の形態、そして21世紀以降に創作された20作に及ぶ大城立裕氏の新作組踊まで視野に入れた研究になった。本研究の成果の一つは二回開催されたシンポジウムである。第一回「組踊から沖縄芝居、そして≪人類館≫へ」(2012年2月8日)と第二回「≪劇場と社会≫-劇場に見る組踊の系譜」(2012年3月11日)の両シンポジウムは、組踊と能楽、其々に優れた研究者當間一郎氏と天野文雄氏に基調講演をしていただき、民俗芸能、琉球舞踊、琉球音楽、シェイクスピアなどの研究者、国立劇場おきなわ芸術監督、沖縄芝居実験劇場代表等をパネラーとして招聘し開催した。一方、大城氏の10作の新作組踊上演は、朝薫が初めて冊封使に披露した1719年から現在に至る「組踊」の系譜を逆照射することになり、本研究は当初の目的を超えた発見をもたらした。