著者
鍾 淑玲
出版者
法政大学イノベーション・マネジメント研究センター
雑誌
イノベーション・マネジメント (ISSN:13492233)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.133-155, 2015 (Released:2018-10-23)

本稿は歴史的な側面から段階別に全家便利商店の展開を考察し、台湾でのファミリーマートの経験を通して、日本型コンビニの国際化におけるキーファクターの抽出を目的としている。まず、日本型コンビニの特徴を(1)直営店よりも加盟店が多い。(2)中食商品群の強化により、高い粗利益を確保する。(3)メーカーとの共同配送システムが重視されている。(4)情報システムの構築によって、チェーン運営の効率化を図っている。(5)S&QCが重視されている、の5つのポイントにまとめた。次に、全家便利商店の発展段階を進出期(1988~1993年)、成長期(1994~2005年)、成熟期(2006~2014年)の3つの段階に分けて、それぞれの段階において、日本型コンビニの特徴がどのように移転されたかを明らかにした。日本型コンビニの移転に障害となるものに対して、全家便利商店は一つ一つ革新を起こしながら克服し、台湾における発展を成し遂げた。本稿で明らかになった日本型コンビニの国際化におけるキーファクターを挙げると、コンビニは現地適応化が不可欠な産業であることから、良い現地パートナーの確保が重要である。一方、日本側の役割は資本投資以外に、最大限の資源による現地企業への技術ノウハウをサポートすることであった。そして、経営主導権は現地パートナーに引き渡すことで、現地社員のモチベーションを持たせることができ、イノベーションの発生につながったと考えられる。
著者
鍾 淑玲
出版者
アジア経営学会
雑誌
アジア経営研究 (ISSN:24242284)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.31-43, 2018 (Released:2019-04-01)
参考文献数
45

This paper aims to propose a new framework for retail internationalization, especially for the sustainable growth of a retailer in the Asian markets. It discusses why we need to apply the embeddedness concept when investigating the process of internationalization, after studying relevant literature on these subjects. It then proceeds to discuss the factors influencing embeddedness and the differences between localization and embeddedness. Additionally, this paper proposes an analysis framework, which applies the embeddedness concept identified by Hess (2004) combined with the “Convenience Business Model” by Chung (2016a). It also recommends that embeddedness should be investigated from both the “temporal” and “spatial” angle. Finally, the paper introduces corporate social responsibility as a complementary activity during the embeddedness process of retail internationalization.
著者
鍾 淑玲
出版者
東京工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は台湾の近代流通構造および小売業展開の特徴を明らかにすることを目的として、まず、台湾における現地資本と外国資本の小売企業の競争状況、主要小売業態の上位企業の経営概況、そして、小売国際化の特徴を把握した。個別企業研究は、2大コンビニエンス・ストア・チェーンの展開による小売国際化、大手自転車メーカーの流通チャネル政策による流通近代化、外資系小売企業の中国市場参入の実態と影響を考察し、最後に台湾の流通政策と伝統的な商業集積の近代化との関係を明らかにした。