- 著者
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齊藤 明
岡田 恭司
佐藤 大道
柴田 和幸
鎌田 哲彰
- 出版者
- 公益社団法人 日本理学療法士協会
- 雑誌
- 理学療法学Supplement Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
- 巻号頁・発行日
- pp.F-45, 2019 (Released:2019-08-20)
【はじめに・目的】 成長期野球肘内側障害における脊柱アライメントを評価し,本症との関係を明らかにすることである。【方法】 野球肘内側障害患者50名(野球肘群)と健常小学生100名(対照群)を対象に,Spinal Mouseを用いて自然立位およびwind up phaseを模した片脚立位での胸椎後弯角,腰椎前弯角,仙骨傾斜角,脊柱傾斜角を計測し,それぞれの変化量(片脚立位-立位)も算出し2群間で比較した。また脊柱アライメントと肩関節外旋,内旋可動域(90°外転位),および肩甲骨アライメント(脊柱-肩甲棘内側縁,壁-肩峰前縁の距離)との関連を検討した。【倫理的配慮】 秋田大学医学部倫理委員会(承認番号1036)の承認を得てから実施し,対象者および保護者には事前に研究目的や方法について十分に説明し書面にて同意を得た。【結果】 自然立位における脊柱の各角度は2群間で有意差を認めなかった。片脚立位では野球肘群が対照群に比べ有意に胸椎後弯角が大きく(P=0.016),脊柱傾斜角は後方傾斜していた(P=0.046)。またこれらの変化量も同様の結果であった(それぞれP=0.035,0.020)。しかし,脊柱アライメントと肩関節可動域および肩甲骨アライメントとの間には有意な相関関係は認められなかった。【考察】 成長期野球肘内側障害では,片脚立位において胸椎が後弯し,体幹も後方傾斜することが明らかとなった。このことが投球フォームへ影響を与え,本症の発症につながる可能性がある。