著者
日本 PDA 製薬学会技術教育委員会 小島 威 須賀 尚 綱島 大介 橋本 葭人 檜山 行雄 前田 仁 2009-2011 日本 PDA 製薬学会 技術教育委員会メンバー 上田 龍 榎本 将雄 奥村 剛宏 柿木 宏一 鎌田 謙次 紀井 良明 黒田 弘文
出版者
一般社団法人日本PDA製薬学会
雑誌
日本PDA学術誌 GMPとバリデーション (ISSN:13444891)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.1-24, 2016

QbD<sup>1)</sup>開発を経ていない医薬品を ICH<sup>2)</sup>ビジョンに基づき各社のシステムに取り込むためには,それぞれの製品に QbD による製品・工程理解が必要となる。そのためには,利害関係者間での必要性の共通認識,会社内の連携,経営資源の配分など運営的な課題と具体的な手法の提示,薬事手続きに関する不安という課題がある。これらの課題に取り組み,既存品の置かれている現状解析から,品質・生産におけるリスクのみならず,行政動向を踏まえると薬事的なリスクも抱えることとなることを指摘し,既存品に対する QbD 適用の必要性を考察した。上市後 16 年経過した経口錠剤の溶出性低下をトリガーとした QbD 適用事例を示した。この事例は開発情報・実生産情報を基にした CQA<sup>3)</sup>確認,データマイニング<sup>4)</sup>,追加実験,改善検討,管理戦略の再構築という流れになっている。続いて,変更管理の全体的流れを整理した上で,前出の事例をもとに複数の管理戦略選択肢を上げ,それぞれに対する薬事手続きを考察した。さらに,既存薬に Q8<sup>5)</sup>適用する場合の社内体制とデータの扱いを検討した。変更提案をきっかけとした短期的な取り組みと継続的改善を達成する長期的な取り組みに分け検討を進め,リスクアセスメントのベースとなるデータの種類・所在をまとめた上で必要な社内機能を考察した。検討した既存品 QbD をまとめ,新規開発における QbD との比較検討を行ったところ,双方に共通したベストプラクティスがあることが認識された。その上で,『商用生産 QbD の推進』を総括的な結論とした。<br> 本検討は 2009 年から 2011 年にかけ行われ,2011 年 10 月 4 日に成果発表会を開催した。<br>