著者
長尾 忠昭 大島 忠平
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学 (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.145-151, 1994
被引用文献数
1

高分解能電子エネルギー損失分光法(HREELS)は固体表面の分子振動,原子振動,格子振動(フォノン)を調べる有力な研究手段である。これらの素励起のエネルギー自然幅は0.3meV程度であるので0.3meV以下のエネルギー分解能をもつ分光器の出現が望まれている。現在の最高のエネルギー分解能は1meVを切りその可能性はさらに広がりつつあるが,このような高精度測定を実現するためには,長期にわたる多くの技術的改良が必要であった。本稿ではHREELSの装置開発について,特にエネルギー分解能向上の話題を中心に紹介する。