著者
並木 美太郎- 長慎也
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.123, pp.61-68, 2005-12-10
被引用文献数
3

2004年度から開始された文部科学省の「IT人材育成プロジェクト」において、ITに関する知識・技能を有する高校生のアイデア・スキルを発揮させることで独創性を向上させる「ITスクール」の2005年度の実施例について報告する。昨年度同様、5泊6日の合宿形式で全30名の生徒に、SqueakとSmalltalkを用いてオブジェクト指向の概念を講義・実習し、自由研究で小規模なシステムを作成させた。結果としては、概ね好評、自由研究などでも完成度の高い作品を作成するなど、一定の効果を得ることができた。This paper reports "IT school" that educates advanced IT knowledge and skills to improve originality for high school students. In the school planed as a part of "It Training Project" of the Ministry of Education Culture, Sports, Science and Technology in Japan, the concept of object-oriented was to educate 30 high school students and let them practice using Squeak and Smalltalk in the 6days training camp. Small-scaled systems of freely research were implemented by students with the knowledge they acquired though lecture and practice. As a result, the students could develop abilities of handing advanced IT and be experts of IT in each high school after the school.
著者
長慎也 筧 捷彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.43, no.8, pp.121-121, 2002-09-15

アクションゲームを作成する際に必要となる技術として,複数のオブジェクトの並行動作や,ゲーム画面の視覚的設計,といったことがあげられる.これらの技術をユーザから簡単に利用可能にする言語および開発環境Tonyu System(以下Tonyu)を作成した.まず,Tonyuは各オブジェクトの動きを独立に記述し,それらを並行動作させることが可能である.並行動作を行うには通常マルチスレッドを用いるが,アクションゲームはオブジェクトが多数出現するため,OSで用意されているスレッドでは負荷が大きすぎる.Tonyuは仮想機械による実行系を持ち,仮想的なスレッドを同時に複数実行できるが,OS上ではシングルスレッドで実行される.このため,同等の処理をOSのスレッドを利用して行う場合に比べて負荷が抑えられている.また,Tonyuはゲーム画面の設計を視覚的に行う仕組みを持つ.GUIアプリケーションの外観を設計するビジュアルツールは多く普及しているが,Tonyuはこのビジュアルツールの技術をゲーム画面のレイアウト設計に応用したものである.さらに,Tonyuはプログラムの実行中においても,設計時同様,ゲーム画面のクリックによるオブジェクトの選択,選択されたオブジェクトの値の閲覧,編集といったデバッグ操作をリアルタイムに行うことができる.この機能を利用して,他ユーザのプログラムを容易に解析,改変することができる.これらの特徴を活かし,Tonyuをプログラムの共同開発やプログラミング教育のためのツールとして利用していく予定である.To making action games, we need following techniques: parallel processing of multiple objects and visual design of game fields. We developed "Tonyu System" to support these techniques for users. At first, Tonyu allows users write behavior of each object independently and then put them into a field and run them automatically in parallel. In action games, there may be many threads at a same time. That will charge very high load when using native threads (threads provided by OS). Tonyu can execute virtual multi-threads on the virtual machine. But consumes just one native thread. It charges less load than using native thread. Second, Tonyu enables users to design layouts of game fields visually. To design layouts of GUI-based applications, visual development tools are widely available. Tonyu is also a visual development tool, but for designing layouts of action games. Moreover, Tonyu has some useful debugging features: selecting each object by clicking the game screen and inspecting and editing values of the object. These features can be used not only at design time, but also at runtime. They support users to analyze and modify other user's programs. Using these features, we are using Tonyu for co-operating development, or programming education.
著者
長慎也 甲斐 宗徳 川合 晶 日野 孝昭 前島真一 筧 捷彦
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.103(2003-CE-071), pp.13-20, 2003-10-17

大学のプログラミングの授業では,Javaなどの既存のプログラミング言語を題材とすることが多い.それらは習得が難しく,プログラミング嫌いを生む原因となる.初学者には,興味を惹く例題がすぐに書け,それでいて既存言語へ容易に移行できるプログラミング言語と環境を用いるのが適切である.そこで,オブジェクト指向のプログラミングにすぐ入れて,なおJavaへの移行も容易な%このような性質を持った言語Nigariとそのプログラミング環境を実際に開発して,授業に用いてみた.本発表では早稲田大学コンピュータ・ネットワーク工学科での,その試行結果を報告する.
著者
長慎也 甲斐 宗徳 川合 晶 日野 孝昭 前島真一 筧 捷彦
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.45, no.SIG09(PRO22), pp.25-46, 2004-07-15

初学者がプログラミングを学習する場合,一般に,最初は簡単な概念を学び,次第に高度な概念を習得するという順序を踏む.学習環境も,その進行に沿ったものが用意できるとよい.最初は,難しい概念を知らなくても使える取っ付きやすい言語や環境を与え,学習が進むに従って,高度な概念も扱えるJavaなどの実用的な言語へ移行させるとよい.これによって,初学者にプログラミングに対する興味を持たせ,学習意欲を継続させることが可能であると考えられる.そこで,プログラミング学習の導入部において用いるのに適した言語Nigariとその環境を開発した.Nigariの言語仕様は,Javaのそれを簡素化したものになっており,クラスやメソッドの宣言など,初学者にとって理解が難しいものを書く必要がない.一方,基本的な制御構造などは,Javaとほとんど同じ仕様である.Nigariの実行環境は,オブジェクトを自動的に可視化する機能を持つ.これによって,学習者のプログラミングへの意欲を向上させるだけでなく,オブジェクトの概念をも理解させることができる.早稲田大学コンピュータ・ネットワーク工学科1年前期のプログラミングの授業を実験の場とした.この授業は本来Javaを用いて実習を行うが,導入部にNigariを用いた.実験では,オブジェクトの可視化機能について学生から高い評価を得られた.また,言語を簡素にすることについても,ある程度の評価を得られた.