著者
長手 厚史 太田 喜元 星野 兼次
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン (ISSN:21860661)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.211-218, 2021 (Released:2021-12-01)
参考文献数
18

高度約20 km の成層圏から超広域のエリアをカバーする成層圏プラットフォーム(HAPS: HighAltitude Platform Station)への期待が高まっている.最大で半径100 km のエリアに無線区間1 ms以下の低遅延で通信サービスを提供可能であり,また今後急速な普及が予想されるドローンや空飛ぶクルマが飛行する上空エリアへの通信プラットフォームとしても有望である.このため,我が国のBeyond 5G 戦略の一環としても期待されている.また,上空を飛行するソーラープレーン等に搭載される無線中継局から普段使用するスマートフォンと直接通信可能である.災害時にもその影響を受けることなく,ユーザも特別な端末を持ち歩くことなく普段使用しているスマートフォンで即座に通信可能であることから,究極の災害対策プラットフォームとしても位置付けられる.本稿では,成層圏プラットフォーム及びHAPS 移動通信システムの概要を述べるとともに,更なる発展に向けた研究開発動向を解説する.
著者
長手 厚史 星野 兼次 藤井 輝也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIP, 信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.439, pp.19-26, 2008-01-18

次世代移動通信では、ユビキタスなワイヤレスブロードバンド環境の実現へ向けて、セル端スループットの向上が重要な課題として掲げられている。この実現に向けては、3セル繰り返しやFFR (Fractional Frequency Reuse)等の周波数繰り返しが有効な手法として考えられている。周波数繰り返しの特性を考慮すると、複数基地局からの信号を周波数軸上で直交多重して受信するマルチリンク伝送は、セル端スループット向上に効果的である。しかしながら、基地局毎の周波数オフセットの違いを考慮すると、直交性の崩れにより周波数間干渉が発生し、通信品質を劣化させる。本稿では、周波数間干渉のキャンセル法を提案し、その改善特性を理論解析、計算機シミュレーションにより明らかにする。
著者
星野 兼次 長手 厚史 藤井 輝也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIP, 信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.439, pp.13-18, 2008-01-18

次世代移動体通信では,ワイヤレスブロードバンド環境の実現に向けて,セル全体のみならずセル端におけるスループット向上が大きな課題として挙げられている.特に,次世代通信方式の変調方式の有力候補であるOFDMにおいて,セル端におけるスループット向上を実現する手段として,複数基地局から異なるサブキャリアのOFDM信号を周波数多重で直交させて送受信するマルチリンク伝送が検討されている.マルチリンク伝送では,複数基地局分の帯域と送信電力を同時に利用できることから,セル端スループットを向上させることができる.しかし,マルチリンク伝送の課題として基地局毎の同期が取れていない場合,OFDM信号が直交しないため隣接チャネル干渉が生じる.そこで本稿では,各基地局からの受信信号間の相互干渉(隣接チャネル干渉)をキャンセルする干渉キャンセラについて検討する.