著者
長谷川 雄基 佐藤 周之 上野 和広 長束 勇
出版者
公益社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業農村工学会論文集 (ISSN:18822789)
巻号頁・発行日
vol.88, no.1, pp.II_29-II_34, 2020 (Released:2020-06-25)
参考文献数
7

本研究では,水砂噴流摩耗試験に対するサンドブラスト法の代替性の検討および材料の耐摩耗性の評価試験として実務上多用されるテーバー式摩耗試験とサンドブラスト法の比較検討を目的とし,細骨材粒径を変化させたモルタル供試体を対象とした比較検証実験を行った.結果として,サンドブラスト法では,試験時間の差異により試験後の供試体表面の状態は変化し,試験時間が短いと水砂噴流摩耗試験に近い選択的な摩耗現象を再現し,試験時間が長くなるとテーバー式摩耗試験に近い面的に進む摩耗現象を再現できる可能性が考えられた.加えて,粒径0.6mm以上の割合が大きい細骨材を使用した無機系補修材については,サンドブラスト法の試験時間を10秒とすることで,水砂噴流摩耗試験による現行の無機系補修材の品質評価と同等の評価ができる可能性が示された.
著者
長束 勇 小林 範之 石井 将幸 上野 和広 長谷川 雄基 佐藤 周之 佐藤 嘉展
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

初年度(2017年度)の成果を踏まえ,本年度は日本国内で実施する実験・解析の課題について取り組むこととした。一方,ブータン王国側のカウンターパートである農林省農業局(DOA)との共同研究の推進(とくにVisa取得,計測機器や資材のブータン王国内への搬入)に,日本の大学との関係の明文化が求められたことに加え,ブータン王国の国政選挙から政権交代(2018年12月)があり,現地調査等の進行を止めざるを得なかった。その中で,佐藤が2018年6月に単独で渡航し,DOAのチーフエンジニアと面談をし,現地実証実験のフィールドの確認と今後の工程を確認している。本研究課題のゴールは,開発途上国で容易に応用可能で経済性に優れ,耐震を含めた安定性を有する小規模ため池の工法開発である。本年度は,各研究分担者によって,実験室内レベルで設定した研究課題をそれぞれ進めた。根幹となるため池築造技術に関する研究としては,ベントナイトを利用する研究を進めた。ベントナイト混合土によるため池堤体内の遮水層構築は,理論的には可能である。しかし,ベントナイトの膨潤特性の管理や強度特性など,安定した貯水施設の利用には課題が残っている。本年度は,ベントナイトの種類,ベントナイト混合土を室内試験にて一定の条件で確認するための母材,ベントナイト添加率と物理的・力学的特性の評価を行った。本実験で確認した条件下でのベントナイト混合土に対して,透水性の評価までを行い,十分に実用に耐える配合条件を確保できることを確認した。今後,最終年度には,耐震性および浸透特性の解析を国内で進めながら,ブータン王国内における現地実証試験の具体化を進める予定である。具体的には,現地で確保できるベントナイトならびに母材を用いたベントナイト混合土の特性評価,ならびにため池堤体の建造技術への応用を進める予定である。
著者
長谷川雄基 長束勇 谷村成 佐藤周之
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次大会2017(仙台)
巻号頁・発行日
2017-06-13

本研究では,コンクリートの表層品質の評価指標として適用される表層透気係数に着目し,表層透気試験の結果からコンクリートおよび無機系補修材料の耐摩耗性を推定する手法を実験的に検討した。結果として,表層透気係数と摩耗質量との間には関連性のあることが確認でき,表層透気係数から耐摩耗性を推定可能な関係式を示した。しかしながら,けい酸塩系表面含浸材は,塗布する銘柄ごとに表面改質効果が異なることから,表層透気係数と摩耗質量との間には必ずしも一定の傾向が成立しないことが示唆され,本研究で導いた関係式による推定の精度が低下するケースのあることが考えられた。
著者
長谷川 雄基 小嶋 啓太 佐藤 周之 長束 勇
出版者
公益社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業農村工学会論文集 (ISSN:18822789)
巻号頁・発行日
vol.85, no.2, pp.I_215-I_220, 2017 (Released:2017-11-08)
参考文献数
10

本研究では, 無機系材料の耐摩耗性の評価におけるサンドブラスト法の適用性を検討した.サンドブラストの基本的性能の評価として, 研磨材の粒径の差異が試験結果に及ぼす影響と試験時間の経過に伴う研磨能力の低下の有無を検証した.加えて, サンドブラスト法におけるモルタル供試体の表面形状, 質量減少量, 摩耗深さの経時変化を評価した.結果として, 材質が同じ研磨材を使用した場合, 研磨材の粒径の増大に伴い供試体の質量減少量は増加することが確認できた.一方, 本実験条件では, 試験時間840sまでは研磨能力は確実に低下しなかった.サンドブラスト法では, 試験時間の延伸に伴い結果のばらつきが拡大することが確認され, 試験時間10sと30sではばらつきの少ない結果が得られることが明らかとなった.サンドブラスト法の試験時間30sで得られる平均摩耗深さは, 水砂噴流摩耗試験の試験時間10hで得られる数値に相当することが確認された.