著者
長沼 亮滋 矢部 一郎 高橋 育子 松島 理明 加納 崇裕 佐々木 秀直
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.83-87, 2018 (Released:2018-02-28)
参考文献数
27
被引用文献数
2

3,4-diaminopyridine(3,4-DAP)を投与した9例のランバート・イートン筋無力症症候群患者の治療効果について後方視的に検討した.3,4-DAPは筋力低下と自律神経異常症に対し有効である一方,傍腫瘍性小脳変性症の小脳性運動失調に無効であった.有効例8例の投与期間は15~149ヵ月であった.3例が10年以上投与しており,長期間安全に投与できた.2例が小細胞肺癌(small cell lung carcinoma; SCLC)により死亡し,1例がSCLCの悪化で投与中止した.副作用が生じた2例のうち1例は投与中止したが1例は減量し投与継続した.維持用量や副作用の生じた用量には個人差があり,慎重な用量決定を必要とした.