著者
片峯 恵一 廣田 豊彦 周能法 長澤 勲
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.1130-1137, 1996-06-15
被引用文献数
4

ドメインの知識を記述するための言語処理系のプロトタイプ用言語には 1)言語処理系の開発に適していて 理解性 保守性にすぐれている 2)実際に運用可能な性能を実現できる 3)移植性にすぐれている などの要件がある.そのような要件を満たす言語として著者らはβ-Prologの開発を進めている.本研究では 決定的な述語をCへ変換することによって β-Prologのいっそうの高速化を目指した.具体的な変換手順は 1)β-Prologコンパイラの中間データである照合木を入力とする 2)照合木を抽象機械NTOAMの命令系列へ展開する 3) NTOAMの各命令をCの文へ変換する となる.このようにしてCへ変換された決定的な述語は NTOAM上で解釈される非決定的な述語と組み合わせて実行することができる.実行性能を評価した結果 非決定性を含む8-queenのような問題であっても SICStusのネイティブコード・コンパイラよりも高い性能を示した.人手でCプログラムヘ変換することによってさらに性能を向上させることが可能であるが そのためには膨大な労力を要し しかも理解性や保守性が低下する.したがって 本論文で提案した手法は 実用的なプロトタイプの開発にきわめて有用であると考えられる.The requirements for a language to be a good implementation language for knowledge representation languages include: 1) be suitable for developing language processors, and have good understandability and maintainability, 2) have fair performance tolerable for practical uses, and 3) have good portability. We have been developing β-Prolog to satisfy the above requirements. In this research, we have aimed to improve the performance of β-Prolog by translating determinate predicates to C. Our translation procedure works as follows: 1) input the matching trees which are intermediate data of the β-Prolog compiler, 2) flatten the matching trees into a sequence of NTOAM instructions, 3) convert each NTOAM instruction to C statements. The C program translated from determinate predicates can be linked with nondeterminate predicates which are interpreted by NTOAM. Our evaluation result shows that our method is superior in performance to SICStus native code compiler even when a program has nondeterminism like 8-queen. Manual translation to C program might improve the performance further, but it would take enormous efforts and degrade the understandability and maintainability. We think that our method is much effective for developing practical prototype systems.
著者
長澤 勲 古川 由美子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.112-120, 1986-01-15
被引用文献数
2

現在 機械設計の現場では FORTRANなどでかかれた専用的な設計システムが実用されている.近年 多品種少量生産傾向が強まるとともに 保守性 拡張性 多目的性に優れた汎用設計システムの必要性が認識されてきた.このためには 設計の方法論に基づいた設計システムを開発する必要がある.筆者らは 先に 論理プログラミングを用いた拘束条件リタクション法とよぶ計算モデルを提案し これが設計計算のモデルとして優れた表現力をもつことを示した.本研究では この計算モデルを基礎に機械設計のうち基本設計とよばれている部分を対象とした汎用的機械設計計算支援システムを開発した.ここでは まず設計システムを実用化するうえでの問題点と解決策を示し 次に歯車減速機を例にとり設計システムのプログラミング技術について述べている.
著者
長澤 勲 手越 義昭 牧野 稔
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.30, no.8, pp.1058-1067, 1989-08-15
被引用文献数
14

近年建築設計の分野では パーソナルコンピュータ上に実現されたCADシステムが普及し 設計作業の合理化に貢献している.しかし これらのCADシステムは 建築設計の幾っかの側面である設計図書の編集 構造計算 積算等の作業を個別的に支援しているのが現状であり 次のような問題点がある建築設計では 設計が完了した後で発注者の要求や施工上の問題点を解決するために頻繁に再設計が行われる.設計条件が変化した場合の再設計は 従来から行われている手作業と 個別作業の支援のシステムを併用する方法では 図面の変更や構造計算の基礎データを設計者自身が修正しなければならず十分な効果を上げることが因難である.本研究では 設計の個別的な支援による問題点を解決するため 次の特徴をもつCADシステムを開発した.(1)建築物の設計情報を一元的に表現した建築物モデルを中心として 意匠設計 構造設計 積算などの設計作業を支援するモジュールを醒置した・このことによって設計者は 設計データの変換にわずらわされることなく一貫して設計作業を進めることができる.(2)建築物モデルの一貫性を管理する建築物モデル管理機構を設け システムの保守を容易にした.(3)段計者が行う標準的な設計作業の流れを想定し これを一貫して支援できるように配慮した.実際の設計例に適用した結果 従来の方法に比べて設計期間を約1/20に短縮できた.