- 著者
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長田 昌次郎
- 出版者
- 一般社団法人映像情報メディア学会
- 雑誌
- テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
- 巻号頁・発行日
- vol.43, no.3, pp.276-281, 1989-03-20
- 被引用文献数
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3D映像システムの評価として, 自然に見える像の再現空間の範囲は重要である.多方向式を含め両眼式立体画像の再現領域はシステムの物理条件の他, 視差(ずれ)のある2つの平面像を両眼で融合単一視する人の視覚能力にも影響される.ここでは, 始めに立体像の再現空間領域と両眼視差融合限界との関係を導き, 次に, この融合限界が立体画像の画面の大きさ・画角および視距離によってどのように影響されるかを, 並置型40インチHDTV立体画像装置と1台のOHPによる2層式立体画像装置を用いて測定した.その結果, 融合限界は画角40゜内の測定範囲で画角にほぼ比例し, 表示面の前方は画角度当たり約10視角分, 後方は約5視角分の割合で増すこと, および, 視距離の影響は1.5m以下で融合限界をやや低下させ, それ以上では影響がないことを明らかにした.最後に, これらの融合特性に適合する視距離と画面の大きさについて考察した.