著者
長谷川 幸代
出版者
情報メディア学会
雑誌
情報メディア研究 (ISSN:13485857)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.52-61, 2014-02-14 (Released:2014-02-14)
参考文献数
18

本研究は,人々が公共図書館と書店にもつイメージについて調査,分析,考察することを目的としたものである.図書館情報学をコースとして選択している大学生と,実際に公共図書館を利用している人を対象に,公共図書館と書店について抱いているイメージの内容についてのアンケート調査を行い,その結果を分析,比較した.大学生は,書店のイメージの方が図書館に比べてややポジティブなイメージをもつ項目が多いことが判明した.実際に公共図書館を利用している人にも同様の質問を行ったところ,公共図書館と書店のイメージの差が学生の場合よりも小さく,公共図書館と書店のどちらに対しても比較的ポジティブなイメージをもつ傾向があることが分かった.また,書店は気軽に立ち寄れる場というイメージがあることがわかった.
著者
長谷川 幸代
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.96-101, 2020-02-01 (Released:2020-02-01)

近年は,図書館の業務でも様々なデータを利用して利用者のニーズに応えることが期待されている。本稿では,ウェブを通したアンケ―ト調査の結果を分析した。公共図書館の利用頻度と他の公共施設及び他の図書館の利用頻度の間には,正の相関関係が確認された。しかし,公共図書館利用とインターネット閲覧時間との間には関連性が見られなかった。また,回答者の個人特性のうち,「外的没入」の度合は図書館利用とは関連が無いが,尺度の一部では有意な正の相関が確認された。公共図書館の高頻度利用者は15歳から24歳の年齢層に多く見られ,読書冊数が多いという結果が得られた。非利用層は,70歳以上に多く,読書をしない傾向が見られた。
著者
長谷川 幸代
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.73, no.10, pp.415, 2023-10-01 (Released:2023-10-01)

コロナ禍を経て,社会ではいっそう頻繁にデジタルツールを利用するようになっています。特にオンラインで送受信できるという面で,距離や時間の制約を越えて様々な活動が可能になります。「資料」を提供する機関でも,資料をデジタル化することで,アナログではできなかったことが可能になりました。しかしながら,アナログ資料にも利点が沢山あり,今後は双方をうまく提供したり利用したりできることが重要になってきます。アナログとデジタルの双方による情報提供を「ハイブリッド型の情報提供」として,今月号では特集「ハイブリッド型情報提供の実際」を企画しました。本特集では,まず,根本彰氏に総論としてメディア論の観点をふまえ,アナログとデジタルの双方を含めたメディアの変遷を論じていただきました。続いて各論では,以下の5本の記事を掲載しています。間部豊氏には,公立図書館でどのようにハイブリッド型の情報提供が行われているか,電子図書館サービスの具体的な内容を絡めながら解説していただきました。前川道博氏には,地域行政文書を中心に紙で提供されていた情報がデジタル化されることに対しての知見を記していただきました。阿児雄之氏には,博物館での事例を中心にアナログとデジタルによる資料・情報提供の実際の状況をご紹介いただきました。大髙崇氏には,地域放送局によるアーカイブへの取り組みをもとに,人材育成や他機関との連携等今後の課題について述べていただきました。安形麻理氏には,マイクロ資料に焦点を当て,マイクロフィルムの特徴や提供と保存について詳細にご説明いただきました。インターネットが社会に台頭している現代でも,双方をうまく活用することでより充実した資料・情報提供が実現できるのではないでしょうか。本号では,そのための様々な知識を執筆者の皆さまより発信していただけたと思います。(会誌編集担当委員:長谷川幸代(主査),尾城友視,鈴木遼香,森口歩)
著者
長谷川 幸代
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.159, 2022-05-01 (Released:2022-05-01)

2022年5月号の特集テーマは,「データの価値を創出するために」です。近年,イノベーションの創出を目的として,官公庁データ,研究データ,民間データなど,あらゆるデータの利活用が推進されています。これまでの社会では,存在する膨大なデータを収集して「ビッグデータ」としてまとめることが中心となりがちでした。それが昨今は,データの収集,蓄積,管理,流通を的確かつ効果的に行い,それらを利活用して新たな価値を作り出していくことが期待されています。情報専門家であるインフォプロも,従来の資料や情報の収集と提供からさらに発展し,新たな情報資源ともいえる多様なデータを扱う機会が増えてきています。このような中で,改めて身に付けておく基礎知識や求められる能力などについて検討する必要が出てきているのではないでしょうか。今号がこの状況に際して,データ利活用の現状やスキル,人材育成等の側面から皆さまに情報を提供する機会となることを願います。本特集では,まず総論として林和弘氏から,オープンサイエンス政策と学術情報流通を中心とした研究データ利活用の国内及び海外の動向について解説し,さらに展望について述べていただきました。次に,吉武道子氏からは,主に材料科学分野を例に取り上げ,データの種類ごとにデータの利活用の現状と,利活用するために必要な処理であるデータキュレーションについての概観を論じていただきました。池内有為氏には,「データキュレーター」について定義を行い,その役割や人材育成について解説していただきました。河塚幸子氏からは,図書館で利用可能なデジタルデータを中心に現状を紹介,さらにその活用に向けて図書館がどのように対応していくべきかの役割と課題について述べていただきました。水田正弘氏には,データを活用して実社会に役立てる方法について論じていただく中で,必要となるデータに関する状況について解説し,推測統計や記述統計等についてもふれていただきました。大量かつ多種にわたるデータを蓄積していくだけでなく,そこに付加価値を付けて社会に還元していくスキルと人材がとても重要になってきます。インフォプロが直面する新たな課題も出てくると思われます。今号がそのようなことに対して,新たな知見を与える契機になれば幸いです。(会誌編集担当委員:長谷川幸代(主査),今満亨崇,中川紗央里,水野澄子)
著者
長谷川 幸代
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.1, 2022-01-01 (Released:2022-01-01)

2022年1月号の特集は「デジタルレファレンスサービスの未来」です。デジタルレファレンスサービスは,電子メール,チャット,ウェブ等を利用して行われるレファレンスサービスで,様々な形態のものがあります。本誌では,2006年3月に「特集:デジタル・レファレンス・サービス」と題して記事をお届けしました。以前と今回の大きく異なる点としては,新型コロナウィルス感染症の流行による社会状況の変化があります。社会のあらゆる活動において「対面」で実施する機会が減少し,その代替手段としてインターネットを介した「オンライン」のシステムが利用されるようになりました。対面で直接コミュニケーションを図ることができず,困難が生じることもある反面,時間や距離による問題が解消され,便利になった点も多くあります。そして,対面の活動が再開されてもなお,オンラインの活動を継続する風潮も見られます。図書館のサービスにおいてはどうでしょうか。来館型のサービスを一時休止した図書館が多くあり,利用者からサービスの再開を待ち望む声もあがりました。そこで,どのようにサービスを継続するかが検討され,オンラインを活用した新たなサービスを実施するケースも見られています。特に図書館における「レファレンスサービス」では,対面でのレファレンスインタビューが重要である一方,デジタルレファレンスサービスの利用によって,来館に困難があってもサービスの利用機会が得られ,サービス提供の拡張につながることが期待されます。また,頻度が高く即答可能な質問に自動応答することで,効率化も進むものと考えられます。本特集では,まず小田光宏氏から総論としてデジタルレファレンスサービスの今後を見据える目的で,アナログからデジタルへの転換,接続に関する情報を整理する論考を提供していただきました。小田氏には,2006年の特集の際にも執筆いただいており,その流れを汲みながら現在と未来を考察する内容となっております。次に,海外でのデジタルレファレンスサービスの事例として,松野南紗恵氏からコロナ禍におけるヴァーチャルレファレンスサービスの動向を,調査結果の事例を交えて解説いただきました。また,渡邊由紀子氏からは大学図書館の事例として,九州大学附属図書館での非来館型のサービスの拡張について解説していただきました。最後に,齋藤泰則氏からはヴァーチャルレファレンスの展望について,自動化に関する解説と展望を述べていただきました。デジタルレファレンスサービスは,ある程度の歴史がありこれまでも利用されてきましたが,今回の特集が歴史的流れと今までにないコロナ禍の状況におけるデジタルレファレンスサービスの現状を概観し,さらに今後の展開を考える契機となれば幸いです。(会誌編集担当委員:長谷川幸代(主査),青野正太,海老澤直美,南雲修司)
著者
長谷川 幸代
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第16回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.125-130, 2019 (Released:2019-06-14)

近年ではビックデータの活用に注目が集まっており,図書館でも,データを活用してサービス改善の方策を検討する試みが見られる。本研究では,インターネットを利用したアンケート調査を行い,図書館利用頻度に関わりのある事柄を分析した。集計結果から,公共図書館の利用頻度及び他の図書館や公共施設の利用頻度の分布の概観を確認し,「インターネット利用」と個人特性のうち「外的没入」が利用頻度に影響を与えるかを分析した。分析結果によれば,公共図書館の利用について,非利用層が半数を超えていること,利用層の中では定期利用層も存在し,他種の図書館や公共施設より利用頻度が高い傾向が見られた。各種SNSの利用状況と公共図書館利用頻度には,弱いながらも有意な正の相関関係が示されたが,インターネット閲覧時間と図書館利用頻度の間に有意な相関は見られないことが分かった。最後に,個人特性のうち,外的没入の度合は図書館利用と関連が無いが,尺度を構成する一部では有意な正の相関が確認された。