- 著者
-
山中 直明
塩本 公平
長谷川 治久
- 出版者
- 一般社団法人電子情報通信学会
- 雑誌
- 電子情報通信学会論文誌. B-I, 通信I-情報通信システム・理論 (ISSN:09151877)
- 巻号頁・発行日
- vol.80, no.7, pp.542-553, 1997-07-25
- 被引用文献数
-
2
本格的なマルチメディア通信網の実施を目指して, 新しいコンセプトに基づいたネットワークアーキテクチャ, フレキシブルマルチプロトコルエミュレーションネットワークALPEN(An A__-TM Multi-P__-rotocol E__-mulation N__-etwork)を提案する. ALPENでは, ATMレイヤの各種プロトコル, 例えば, ABR(Available Bit Rate), FRM(Fast Resource Managment), SHM(Short Hold Mode)プロトコル等をシンプルでかつ単一な中継網で実現する. 各種プロトコルは, WAN(Wide Area Network)のエッジのノードでエミュレーションされ, 中継網の状況把握は周期的なルートの空帯域情報等の性能チェックによりのみ行う. 新しいサービスやプロトコルを導入する場合も, エッジノードのみの変更により実現できるため経済的でかつフレキシビリティに優れたネットワークアーキテクチャである. ALPENでは, エッジノードが周期的に事前にルートの帯域情報を知っているため, ユーザの帯域要求変更に対して高速に応答できる可能性がある. 特にWANのようなRTT, (Round Trip Time, 周回時間)が長い網では, 応答性能の問題を解決する可能性がある. 周期的ルートの空帯域情報は分散的にエッジノードが入手しているが, 情報が古い可能性や, 複数のエッジノードで独立に処理を行う必要がある. そこで, 統計的な手法により実効的な空帯域を推定し, かつ複数のエッジノードで許可した帯域変更が中継線で重複する(オーバブッキング)ことも統計的に設計する. 本論文では, この統計的な帯域変更の手法についても述べる. 本論文で提案したALPENは, 各種サービスやプロトコルの混在する将来のマルチメディア時代において新サービスの追加や多様で不確定なネットワークサービスに柔軟に対応できるネットワークアーキテクチャと考えられる.