著者
長野 敏英 倉石 晉 仁藤 伸昌
出版者
Japanese Society of Agricultural, Biological and Environmental Engineers and Scientists
雑誌
生物環境調節 (ISSN:05824087)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.11-19, 1980-03-31 (Released:2010-06-22)
参考文献数
13
被引用文献数
1

愛知県のサボテン栽培用温室で栽培中のサボテンの表面温度を測定したところ, ヒボタンニシキは57.3℃を示したが, これは高等植物で報告されている最高植物温度である.ヒボタンニシキは開花していたことから考えて, この温度下で生理活性を持っていたと考えられる.この温室内に生育していたすべてのサボテンは50℃以上であり, またテンオウマルは数回の日を変えた測定でも55℃以上を示した.このようなサボテンは夏期1日のうち2~3時間は50℃を, 10時間は40℃以上という長時間高温に保たれていた.キンシャチは表面から3mm以内に葉緑素を大量に含むが, 表面から5mmの深さの温度と表面温度は1日の測定で常に1℃以内の温度差に保たれていた.したがって, 赤外線放射温度計で測定された表面温度は光合成を行う部分の温度とほぼ等しいことがわかった.なおキンシャチの内部は1日数時間50℃け近くの温度を保っていた.
著者
酒井 一人 仲村渠 将 吉永 安俊 長野 敏英 大澤 和俊 石田 朋康
出版者
土壌物理学会
雑誌
土壌の物理性 = Journal of the Japanese Society of Soil Physics (ISSN:03876012)
巻号頁・発行日
no.122, pp.23-31, 2012-12

本研究では,冬季に沖縄県北部亜熱帯広葉樹林地の沢沿い複数地点でのCO2フラックス,地温測定および土壌水分測定により,CO2フラックスの地点間および観測日による変動実態を把握し,既往研究と比較した。さらに,対象地点の土壌の粒度分布,有機物含有量,根量とCO2フラックスの関係について解析した。また,温度制御した円筒管土壌呼吸実験により対象土壌のCO2フラックスの温度依存性について確認した。その結果,次の(1)~(5)が認められた。(1)CO2フラックスはばらつきがあり,南尾根で最大,谷に向かって小さくなる傾向にあった。同じ観測日での地温の測定地点間差は小さく,各地点の観測時の温度差がCO2フラックスの差に与えた影響は小さいと判断された。(2)既往の研究との比較では,本調査での値はA0層除去の影響により小さかったと判断できた。(3)観測日の温度の違いによるCO2フラックスの違いは明確ではなかった。それに対して,土壌水分の増加によりCO2フラックスが減少するという土壌呼吸特性が見られた。(4)本研究での観測では,粒度組成,有機物量,根量などとCO2フラックスの関連性は明確ではなかった。(5)土層実験により温度依存性を調べた結果,既往研究で示されたQ10値の範囲内の結果を得た。