著者
長野 敏英 倉石 晉 仁藤 伸昌
出版者
Japanese Society of Agricultural, Biological and Environmental Engineers and Scientists
雑誌
生物環境調節 (ISSN:05824087)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.11-19, 1980-03-31 (Released:2010-06-22)
参考文献数
13
被引用文献数
1

愛知県のサボテン栽培用温室で栽培中のサボテンの表面温度を測定したところ, ヒボタンニシキは57.3℃を示したが, これは高等植物で報告されている最高植物温度である.ヒボタンニシキは開花していたことから考えて, この温度下で生理活性を持っていたと考えられる.この温室内に生育していたすべてのサボテンは50℃以上であり, またテンオウマルは数回の日を変えた測定でも55℃以上を示した.このようなサボテンは夏期1日のうち2~3時間は50℃を, 10時間は40℃以上という長時間高温に保たれていた.キンシャチは表面から3mm以内に葉緑素を大量に含むが, 表面から5mmの深さの温度と表面温度は1日の測定で常に1℃以内の温度差に保たれていた.したがって, 赤外線放射温度計で測定された表面温度は光合成を行う部分の温度とほぼ等しいことがわかった.なおキンシャチの内部は1日数時間50℃け近くの温度を保っていた.
著者
勝見 允行 山根 久和 近内 誠登 湯田 英二 佐野 浩 倉石 晉
出版者
国際基督教大学
雑誌
特定研究
巻号頁・発行日
1987

矮性問題:山根はインゲンの矮性(マスターピース)及びキュウリの矮性(スペースマスター)とそれぞれの高性種との間で内生GA量に差がないことをみつけた. インゲンではGA感受性の低いことが, キュウリでは加齢の早いことが矮性の原因であると推定された. 倉石はオオムギ幼葉鞘でのオーキシン合成はL-Tryからラセマーゼ・D-Tryアミノトランスフェラーゼの反応経路で行われると推定し, 矮性uguは後者の活性か低いためオーキシン生産が少ないという知見を得た. 勝見はGA感受性, 高GA生産性矮性トウモロコシD_8の中胚軸の細胞膜微小管の配向を顕微蛍光抗体法で観察し, 表皮細胞では高性株との間に配向パターンの差は見られないこと, しかしD_8の皮層では, 細胞伸長軸に対して直角配向をする微小管をもつ細胞が, 高性株に比べて狭い区域に限られていることみつけた. この結果はD_8がGAの受容体に関する突然変異だとする仮説と矛盾しない. 佐野は5-アザシチジン(AzaC)処理によって矮性化が誘導されること, F1でも矮性形質か残ることから, AzaC誘導の形態変化は遺伝することを示した. AzaCはシトシンのメチル化を抑えていることも確かめられた. この結果は, 矮性株のGNAはメチル化が低いという前年度の結果を支持するものである.生殖生長:湯田はビワ果実の無種子化をGA3を主体とする処理により成功した. より効果的な処理のためにはビワ固有のGAを使うことが望ましいと考え, ビワ幼果から抽出を行ない, 3つの新GAを発見した. ビワの生理活性GAはGA_<34>と推定される. 近内はブラシノステロイドによる作物の子実の増収を検討した. 開花初期における処理は, コムギ, ナタネ, ダイズで増収効果があった. またトウモロコシの花粉の発芽率も高まった. 桂はサトイモの地上部からGA_<24>を単離同定した. 花芽誘導に関与するGAを検討中である.