著者
齋藤 裕史 門磨 義則 今井 庸二
出版者
日本歯科理工学会
雑誌
日本歯科理工学会学術講演会要旨集 平成14年度春期第39回日本歯科理工学会学術講演会
巻号頁・発行日
pp.121, 2002 (Released:2003-07-18)

従来の歯科用アクリルレジンでは, ベースモノマーとしてメチルメタクリレート(MMA), ポリマーとしてポリMMA(PMMA)やMMA/エチルメタクリレート(EMA)共重合体がおもに使われてきている. EMAはポリマー成分に利用されることはあっても, モノマーとしての利用はほとんど検討されてこなかった. そこで演者らは、過酸化ベンゾイル(BPO)/アミン重合開始剤を用いてPMMA/EMAの重合について検討し, それについては前学会で報告した1). その結果, 重合時のピーク温度がPMMA/MMAにくらべて大幅に低下する特徴が認められたが, PMMAの分子量が大きくなると重合物が不均質になりやすかった. そこで本研究では, 重合物を均質化するため、EMAにMMAを添加してPMMAと混合物の重合を行ない, 重合時のピーク温度, ピーク時間および得られた重合物の性質がどのように変化するかを検討した. 以上の結果より, EMAとMMAの混合モノマーとPMMA粉末の混合物の重合では, EMA比率が増加するほど, ピーク温度は低く, ピーク時間は長くなり, 分子量は増加することおよびMMAはやや重合しにくくなることがわかった.
著者
藤沢 盛一郎 熱海 智子 門磨 義則
出版者
日本歯科理工学会
雑誌
日本歯科理工学会学術講演会要旨集 平成16年度春期第43回日本歯科理工学会学術講演会
巻号頁・発行日
pp.3, 2004 (Released:2004-04-21)

ポリフェノールであるクルクミンは抗酸化性、抗癌性があることが報告されている。本研究はBPO-MMAシステムにクルクミン関連化合物を添加し誘導期間、初期重合速度からこれら化合物のラジカル捕捉性を検討したものである。ラジカル捕捉は化学量論的に検討した。Stoichiometric factorは最終的に1をしめしたのでクルクミン二量体の形成が示唆された。
著者
小島 克則 門磨 義則 今井 庸二
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.6, no.5, pp.702-707, 1987-09-25
被引用文献数
23

含イオウ機能性モノマーの研究の一環として, 6-(4-ビニルベンジル-n-プロピル)アミノ-1, 3, 5-トリアジン-2, 4-ジチオン(VBATDT)を合成し, 歯科用貴金属合金との接着性を検討した.VBATDTで貴金属表面を処理した後, MMA-PMMA/TBBO系レジンで金属同士を接着させて, その接着強さの耐久性を調べた.表面処理を行わなかった場合, 熱サイクル試験2, 000回後では, 歯科用合金は実用に耐えられない程の接着強さとなり, また純金属ではいずれも接着強さは0となった.しかしながら, VBATDTを使用した場合は熱サイクル試験2, 000回後でもいずれの歯科用貴金属合金についても耐久性のある46〜54MPaの接着強さが得られた.この値は, 先に報告したMPMA(23〜29MPa)や4-META(7〜35MPa), 4-MET(0〜11MPa)の接着強さに比べてはるかに大きかった.
著者
小島 克則 門磨 義則 山内 淳一
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.316-321, 1997-07-25
被引用文献数
9

アセトンに6-〔N-(ビニルベンジル)プロピルアミノ〕-1, 3, 5-トリアジン-2, 4-ジチオン(VBATDT)を単独あるいは10-メタクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート(MDP)とともに溶解させた歯科用金属接着性プライマーを試作した.試作プライマーで表面処理した金属にコンポジット系レジンセメントのパナビア21を接着させ, 接着強さを調べた.その結果, VBATDT単独よりMDPと併用することにより貴金属のAg, Pt, Pdや卑金属のCr, Tiでは接着増強効果が認められた.VBATDTとMDPを併用したプライマーを塗布し, 乾燥させる処理では, MDP濃度が1.0wt%の場合, VBATDT濃度が5.0wt%よりも0.1または0.5wt%の方が高い接着強さが得られた.さらに, VBATDTを0.5wt%としてMDP濃度を変化させた結果からは, 好ましいMDP濃度は0.2〜0.5wt%程度であることが示唆された.