著者
開發 孝次郎
出版者
日本大学
雑誌
日本大学芸術学部紀要 (ISSN:03855910)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.A101-A116, 2004-07-30

近年になり日本は天皇の存在によって大きな動乱が二度未然に防がれ救われた、と言われています。明治維新では錦の御旗が大きな内戦を阻止し、先の大戦では昭和天皇の終戦宣言が秩序だった終戦、武装解除を可能にしました。しかし明治以降の天皇の存在のあり方は日本の歴史の中では非常に特殊でした。維新後、国家経営者は天皇を国民統合の中心に据える戦略を取り、明治憲法もその線に沿って作られました。明治憲法は当時としてはなかなか立派なものでしたが、最高権力がいずれに属するのか必ずしも明確ではありませんでした。当時は元勲が天皇の周囲をかため、憲法の不備を充分に補っていました。しかし昭和天皇が即位した時点では唯一人西園寺公望しか残されていませんでした。そこに権力の空白が生じ、国家経営に失敗することになってしまいました。本論では満洲事変を中心に天皇、権力機構、当時の日本の国内事情、国外事情、中国事情を考察します。
著者
開發 孝次郎
出版者
日本大学
雑誌
日本大学芸術学部紀要 (ISSN:03855910)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.53-68, 2003-07-30
著者
開發 孝次郎
出版者
日本大学
雑誌
日本大学芸術学部紀要 (ISSN:03855910)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.A111-A128, 1999-03-15

一九八〇年に入りいわゆるリビジョニストと呼ばれる人々により日本の社会経済システムは異質、特殊であり、世界の社会経済の仲間でいるためにはグローバルスタンダードなるものに合わせなければならないとする主調がなされ始めました。それに対して、経済システムはその国の文化、国民性に基づいているものであり、異質ではなく、違いがあるだけであるとの反論があります。本論では日本の企業に焦点を合わせて、「異質性、特殊性」を考察します。日本の企業には確かに終身雇用、年功序列、平等主義、業界団体、メインバンク制、系列、企業別労働組合、間接金融、官僚裁量主導型などの特徴がありますが、これらすべてが日本の企業に固有のものであり、特殊であると言うことではありません。他の国の企業にも程度の差こそあれ存在しています。それぞれに歴史的背景、社会経済的背景、メリット、デメリットがあります。企業はそれが存在する社会の文化から独立した存在ではなく、それを反映している存在です。日本経済はキャッチアップの時代を終了し、これからは確かな目標がない道を進むために適した社会経済制度に移行して行かなければなりません。それと同時に企業のあり方も変わっていかなければならないでしょう。
著者
開發 孝次郎
出版者
日本大学
雑誌
日本大学芸術学部紀要 (ISSN:03855910)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.95-109, 2001
著者
開發 孝次郎
出版者
日本大学
雑誌
日本大学芸術学部紀要 (ISSN:03855910)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.93-107, 2005

天皇機関説排撃運動とは、表面上は天皇主権を認めさせようとする運動でした。しかしその本質は、それまでの歴史で繰り返されてきたように天皇を利用すること、利用しやすくすることが真の目的でした。外では米国における日本人を標的にした人種差別の激化、中国大陸における排日・侮日運動、共産国ソビエトの出現による共産主義の脅威、内では経済不況による大量失業など、内外で苦境に立たされている日本の現状打破に、大日本帝国憲法の不備の隙をついて、天皇の権威を確立し、それを利用して国家経営を行うことを目論んで軍部、右翼が引き起こした事件でした。