著者
間島 羽奈子
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
pp.2023.030, (Released:2023-05-16)

サービス品質を測定する尺度として有力なSERVQUALは,図書館においても適用され始めている。LibQUALは,SERVQUALに基づき開発された,3次元から成る図書館サービス品質測定尺度である。しかし,公立図書館においても3次元から構成されるのかは十分検討されていない。本研究の目的は,①LibQUALの3次元が公立図書館においても抽出されるのかを検討し,②公立図書館のサービス品質と総合評価の関係における利用者の性別の調整効果を検証することである。LibQUALを参考に開発された尺度を用い,公立図書館利用者(n=97)を対象に質問紙調査を実施し,分析した結果,次の3点が明らかになった。第1に,公立図書館においても「情報管理」「場としての図書館」「サービスの姿勢」の3次元が抽出された。第2に,「情報管理」は年齢や性別を問わず総合評価を高めていた。第3に,性別が「サービスの姿勢」と総合評価の関係に影響を与えていた。本研究は,公立図書館においてもLibQUALの3次元が抽出されたことを実証し,性別が公立図書館のサービス品質と総合評価の関係に影響を与えている点を明らかにした。
著者
間島 羽奈子
出版者
日本商業学会
雑誌
JSMDレビュー (ISSN:24327174)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.9-16, 2021 (Released:2021-04-09)
参考文献数
46

超高齢社会において,生きがいの獲得につながる生涯学習が重視されているが,社会教育施設のサービス品質が高齢者の学習満足度に与える影響は検討されてこなかった。本稿は,社会教育施設の一つである公立図書館を取り上げ,①図書館の提供するサービスが,高齢者の学習満足度に与える影響,および,②提供サービスと学習満足度の関係に対する利用頻度のモデレート効果を検討する。図書館のサービス品質を構成する代表的な3つの次元とともに,学習プログラムに関するサービス品質を測定する尺度を設計し,60~69歳の利用者(n = 206)を対象に質問紙調査を実施した。階層的重回帰分析の結果,「場としての図書館」と「学習プログラム」の2つの次元が学習満足度を高めていた。また,利用頻度が少ない場合に,「学習プログラム」が学習満足度をより高める傾向にあった。本研究の貢献は,サービス品質研究の対象を生涯学習の文脈に伸展させ,社会教育施設としての図書館のサービス品質が高齢者の学習満足度に与える影響を明らかにした点にある。