著者
間田 康史 宮川 真紀子 林 大雅 海野 徹也 荒井 克俊
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.103-112, 2001-03-20 (Released:2010-10-28)
参考文献数
29

雌性発生により繁殖している三倍体ギンブナの卵をキンギョ精子で受精後,様々な条件で低温あるいは高温処理を施すことにより,四倍体あるいは四倍体-三倍体モザイクが作出できた。40℃,60秒間の高温処理では受精後5分に処理を開始した群で四倍体の出現率が高かった(67~100%)。DNAフィンガープリント分析とRAPD-PCR分析から,四倍体は父親キンギョ由来のDNA断片を示すことから,精子核ゲノムが取り込まれて作出されることが判明した。高温処理(40℃,60秒間,受精後5分)を施した受精卵の細胞学的観察から,三倍体では本来膨潤しないはずの精子核が雄性前核となり,三倍体雌性前核あるいは二細胞期の割球の核と融合することにより四倍体核が形成されることが判った。同一水槽で三倍体と四倍体を飼育した場合,12月齢魚では成長に差は見られなかった。これらの三倍体は全雌であったが,四倍体では17個体中10個体が雌で,残りの7個体は性的に未分化であった。
著者
間田 康史 海野 徹也 荒井 克俊
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.217-221, 2001-03-15 (Released:2008-02-01)
参考文献数
33
被引用文献数
8 6

皇居上道灌濠より得た三倍体と四倍体のギンブナを養成し, 各々より成熟卵を得た。これらの卵をキンギョ精子で受精し, その子孫について, 細胞核DNA量, 性別, DNAフィンガープリント像を調べた。その結果, 三倍体と四倍体の子孫は, 各々三倍体雌と四倍体雌であり, 子孫はいずれも母親と同一のDNAフィンガープリント像を示した。以上の結果は, 皇居の三倍体, 四倍体ギンブナはいずれも, 非還元卵を産み, 雌性発生によりクローンとして繁殖していることを結論した。