著者
豊坂 昭弘 村田 尚之 三嶋 康裕 安藤 達也 大室 儁 関 保二 金廣 裕道
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.417-423, 2009-04-01 (Released:2011-12-23)
参考文献数
28

日本で受けた男性性転換手術後に晩期合併症として超高位の直腸膣瘻を経験し局所的に閉鎖しえたので報告する.患者は33歳で,7年前に男性から女性への性転換手術を受けた.3年前から人工膣から出血,排便をみている.注腸および内視鏡検査で,直腸S状部の超高位の直腸と人工膣が大きな瘻孔を形成していた.まず人工肛門を造設し,2か月後経仙骨的経路で手術を施行し癒着に難渋したが瘻孔を閉鎖した.術後は順調に経過し,2か月後人工肛門を閉鎖した.現在術後1年3月経過し再発はなく,美容的にも満足している.術後は再発の恐れから膣は使用されていない.本例は解剖学的に通常では発生しえない直腸S状部の超高位の直腸膣瘻であり,このような超高位の直腸S状部の直腸膣瘻の報告は内外とも見られず,局所的手術で修復した報告も見られないので報告した.本例での瘻孔の原因は人工膣内へ狭窄防止用ステントの使用による圧迫壊死であった.
著者
鈴村 和大 飯干 泰彦 澤井 利夫 田附 裕子 関 保二 藤元 治朗
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.678-681, 2006
参考文献数
9
被引用文献数
2

小児の刺杭創は稀である.今回われわれは肛門より小腸脱出をきたした小児の直腸刺杭創の1例を経験したので報告する.症例は8歳男児.入浴中,シュノーケルで遊んでいたところ転倒し,肛門に突き刺さり,腸管が脱出しているとのことで当科受診となった.来院時,肛門より長さ約30cmの小腸が脱出しており,うっ血をきたしていたため用手的に直腸内に還納した.大腸以外の臓器損傷を精査すべく尿検査,CT検査を施行するも,明らかな損傷を思わす所見はなかった.大腸損傷の診断で緊急開腹術施行したところ,損傷部は直腸で挫滅の程度は軽度であり,また腹腔内の汚染も軽度であったため,人工肛門を造設せず1期的に縫合閉鎖した.経過は良好で術後17日目に退院した.文献的に検索しえた本邦小児報告例49例について検討を加えた.刺杭創は受傷状況を十分に把握し,刺入路を明確にしたうえで,損傷臓器を的確に診断することが重要である.
著者
豊坂 昭弘 村田 尚之 三嶋 康裕 安藤 達也 大室 儁 関 保二 金廣 裕道
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.417-423, 2009-04-01

日本で受けた男性性転換手術後に晩期合併症として超高位の直腸膣瘻を経験し局所的に閉鎖しえたので報告する.患者は33歳で,7年前に男性から女性への性転換手術を受けた.3年前から人工膣から出血,排便をみている.注腸および内視鏡検査で,直腸S状部の超高位の直腸と人工膣が大きな瘻孔を形成していた.まず人工肛門を造設し,2か月後経仙骨的経路で手術を施行し癒着に難渋したが瘻孔を閉鎖した.術後は順調に経過し,2か月後人工肛門を閉鎖した.現在術後1年3月経過し再発はなく,美容的にも満足している.術後は再発の恐れから膣は使用されていない.本例は解剖学的に通常では発生しえない直腸S状部の超高位の直腸膣瘻であり,このような超高位の直腸S状部の直腸膣瘻の報告は内外とも見られず,局所的手術で修復した報告も見られないので報告した.本例での瘻孔の原因は人工膣内へ狭窄防止用ステントの使用による圧迫壊死であった.