著者
関 剣平 Jinping Guan
出版者
国立民族学博物館
雑誌
国立民族学博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Ethnology (ISSN:0385180X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.283-314, 2002-11-20

中国茶史上,陸羽の『茶経』があまりにも重要な文献であるため,宋代以降の茶史は唐代の陸羽をもって茶の始源として叙述する傾向が強く,その前代の魏晋南北朝時代への注目が少なかった。しかし,『茶経』が説くように魏晋南北朝時代は喫茶風習の成立期として非常に重要である。そこで同時代の史料を精査し,「風流」と「倹」の思想を軸に喫茶文化の動向を考え,さらに同時代の各社会階層における喫茶風習の受容の状況を明らかにした。あわせて『茶経』の記事を再検討し,史料批判を行った。