著者
関 照信
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.14-20, 1969

(1)宮崎平野に生息しているタテハモドキは,新しく確認されたオギノツメを食草にして世代をくりかえし,確実に土着していることをつきとめた. (2)宮崎平野での食草は,オギノツメ(キツネノマゴ科;多年草;3月〜11月)であるが,一部では,スズメノトウガラシ(ゴマノバグサ科;一年草;7月〜11月)が利用される. (3)周年経過(発生回数)は,年に3世代から5世代になるが,最も順調な経過をたどるものでは,第1化は5月下旬;第2化は6月下旬;第3化は7月下旬;第4化は8月下旬;第5化は10月上旬から成虫が発生する.ただし,成虫の寿命が長い関係で,各世代の間にはかなり深い重なり合いがある. (4)越冬態は成虫で,その主力は10月に羽化する第4化の秋型であるが,一部第3化のおそい秋型と,第5化のはやい秋型がこれに加わる. (5)11月下旬以降は,食草が霜害で枯死するので,卵や幼虫は死滅してしまい,活蛹も12月上旬までしか確認していない.
著者
関 照信
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.1-11, 1968

(1) タテハモドキの季節型決定要因を究明する目的で,若干の基礎的な実験を行なった. (2) タテハモドキの季節型決定要因には,日長と温度が関係しており,日長が主要因になっていると考えられる. (3) 秋型の決定要因には,短日と低温が関係しており,それらは単独でも効果をあらわす場合が認められたが二要因が相乗的に作用すると,秋型が100%羽化する. (4) 夏型の決定要因には,長日と高温が関係しており,それらは単独でも効果をあらわす場合が認められたが,二要因が相乗的に作用すると,夏型が100%羽化する. (5) 湿度も季節型の決定に関与しているようで,高温・暗黒下では,少湿(乾燥)は秋型要因として,多湿は夏型要因として作用する場合が認められたが,さらに充分な実験と慎重な考察を必要とする.
著者
関 照信
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.84-89, 1967

(1)1963年10月以来,宮崎市においてタテハモドキの生息に注意してきたが,1965年には大発生が確認されるに至った。(2)1965年11月から1966年4月にかけて,野外採集によって成虫越冬を確認した。(3)宮崎市における成虫越冬の記録は,生態分布の最北限に当る。(4)野外における最低気温の記録は,本調査による測定では,-3.5℃であった。(5)越冬中でも気温の高い日(18℃以上)には,飛翔活動および吸蜜行動が認められた。(6)1965年11月と12月に採集した20個体についての飼育実験では,1966年4月30日までに11個体が越冬を完了した。(7)飼育実験の結果,10℃〜12℃では寒冷マヒがおこり,18℃〜20℃では自然に覚醒がおこることを観察した。(8)宮崎市大塚町〜下北方町における食草はオギノツメであることを確認した。
著者
関 照信
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1-2, pp.1-11, 1968-10-31 (Released:2017-08-10)

(1) タテハモドキの季節型決定要因を究明する目的で,若干の基礎的な実験を行なった. (2) タテハモドキの季節型決定要因には,日長と温度が関係しており,日長が主要因になっていると考えられる. (3) 秋型の決定要因には,短日と低温が関係しており,それらは単独でも効果をあらわす場合が認められたが二要因が相乗的に作用すると,秋型が100%羽化する. (4) 夏型の決定要因には,長日と高温が関係しており,それらは単独でも効果をあらわす場合が認められたが,二要因が相乗的に作用すると,夏型が100%羽化する. (5) 湿度も季節型の決定に関与しているようで,高温・暗黒下では,少湿(乾燥)は秋型要因として,多湿は夏型要因として作用する場合が認められたが,さらに充分な実験と慎重な考察を必要とする.