著者
原 嘉孝 紀平 一成 関口 高志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.464, pp.11-16, 2002-11-14
被引用文献数
4

ビーム形成を用いるW-CDMA基地局では,アクセス制御を行うにあたりアレー出力における希望信号対干渉雑音電力比(SINR)の把握が重要となる.そこで,本稿ではW-CDMA上りリンクにおいてアレー出力のSINRを測定する方法とその精度について論じる.アレー信号処理では高品質な受信信号を得られるものの,SINR測定に関しては干渉雑音成分の影響を受けやすい.この問題解決のためアンテナ数に応じた補正法を導入し,SINR測定精度の向上を目指す.性能評価では,さまざまなビーム形成法に対して平均受信SINRとSINRの時間分散に基づく性能比較を行う.その結果,チップ単位でMMSE合成ウエイトを演算する方法では,他のビーム形成法と比較して高い平均受信SINRと小さいSINRの時間分散を実現でき,高性能なW-CDMA基地局の構築に有効であることが分かった.
著者
関口 高志 三浦 龍 唐沢 好男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.80, no.2, pp.171-181, 1997-02-25
被引用文献数
8

比帯域幅の広い広帯域信号に対応したビームスペース形構成のアダプティブアレーアンテナを提案する. マルチビームフォーマ部は, それを構成する各ディジタルビームフォーミング回路にタップ付遅延線回路を用いて, 広帯域信号を通過できるように構成した. タップ付遅延線回路の荷重係数は, 各ディジタルビームフォーミング回路の位相特性が同一となり, かつ指向特性が周波数にほとんど依存しないように決める. マルチビームフォーマに続くビームセレクタでビームを選択し, それらのビームの線形結合により干渉信号を抑圧する. これらの線形結合係数は適当な適応アルゴリズムで制御する. 提案する構成は, タップ付遅延線回路を用いたエレメントスペース構成のアダプティブアレーに比べて, 制御すべき荷重の数は著しく少ない特徴をもつ. 適応アルゴリズムにCMA(Constant Modulus Algorithm)を用いた計算機シミュレーションにより, エレメントスペース構成に比べて収束が早く, 干渉波抑圧能力も遜色ないことを示す.