著者
谷口 将一 紀平 一成 高橋 徹 小西 善彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.53, pp.7-12, 2012-05-17

海洋レーダ等,見通し外領域までの観測を行うため, HF帯以下の周波数を用いる.このとき,波長が長くなるためアンテナ開口径が大きくなり,小型化が必要である.小型化の一つの手法として,スーパーディレクティブアレーの適用が考えられるが,実際は素子間相互結合に起因したアクティブ反射係数による反射損が大きい.本報告では,素子間相互結合を考慮し,反射損を定量的に評価し,信号対雑音電力比(SNR)との関係から,システムとしての成立性の確認を行った.その結果,反射損を考慮したSNRの劣化は小さいことを確認した.また,アンテナ開口径を拡大させずにサイドローブレベルを低減する構成を提案した.以上の検討より, HF帯受信アンテナとしてスーパーディレクティブアレーが適用できる可能性があることを確認したので報告する.
著者
原 嘉孝 紀平 一成 関口 高志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.464, pp.11-16, 2002-11-14
被引用文献数
4

ビーム形成を用いるW-CDMA基地局では,アクセス制御を行うにあたりアレー出力における希望信号対干渉雑音電力比(SINR)の把握が重要となる.そこで,本稿ではW-CDMA上りリンクにおいてアレー出力のSINRを測定する方法とその精度について論じる.アレー信号処理では高品質な受信信号を得られるものの,SINR測定に関しては干渉雑音成分の影響を受けやすい.この問題解決のためアンテナ数に応じた補正法を導入し,SINR測定精度の向上を目指す.性能評価では,さまざまなビーム形成法に対して平均受信SINRとSINRの時間分散に基づく性能比較を行う.その結果,チップ単位でMMSE合成ウエイトを演算する方法では,他のビーム形成法と比較して高い平均受信SINRと小さいSINRの時間分散を実現でき,高性能なW-CDMA基地局の構築に有効であることが分かった.
著者
大嶺 裕幸 薮下 剛 紀平 一成 田邊 宏太 葛西 徹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.100, pp.61-66, 2008-06-19
被引用文献数
1

JAXA(Japan Aerospace Exploration Agency)により開発を行っているH-II Transfer Vehicle(HTV)は,国際宇宙ステーション(ISS:Intemational Space Station)への物資補給を担う無人・自動ランデブ宇宙機である.HTVはISSへ接近する際、ISSに搭載されているGPS受信機とHTVに搭載されているGPS受信機により相対航法を行うため、高精度な測位が可能である.マルチパス環境下においては、GPS受信機はマルチパスによるシュードレンジ誤差が発生する.このマルチパスによって生じるシュードレンジ誤差成分は、相対航法により除去できない成分となるため、測位誤差を生み出すおそれのあるマルチパスによる影響を前もって予測し定量的に把握しておくことが重要となる.本報告では,ISS構造物によるマルチパスを考慮した遅延波の解析並びにシュードレンジ誤差解析結果について報告する.ISS構造物をパドルやラディエータ等の駆動部も考慮して詳細なモデル作成を行い、レイトレースによりマルチパス遅延波を精度良く算出した.この結果、ISSで発生するマルチパスによるシュードレンジ誤差の方向を算出することができる.更に、ISS,GPSの軌道に連動したISS構造物によるシュードレンジ誤差の変動の予測が可能であることを示す.