著者
関村 誠
出版者
広島市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

プロティノスにおけるアイステーシスの機能の明確化とその意味づけに努め、アイステーシス論が哲学的思索の中に組み込まれていることを示した。感性的な諸局面の議論に関して、プロティノスがプラトン思想をいかに解釈して引き継ぎ、あるいはいかに独自展開しているかを、両哲学者のテクスト批判を遂行して見極めることを試みた。その結果、アイステーシスのある種の働きが「判断」に連係して哲学構造に組み込まれて、感性と知性とを結びつける積極的な面をもつことを示すことができた。