著者
杉浦 真治 阪上 洸多 林 成多
出版者
THE LEPIDOPTEROLOGICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.13-16, 2019-04-30 (Released:2019-05-17)
参考文献数
15

スカシバ類成虫の形態や色彩,行動はスズメバチ類やアシナガバチ類,ドロバチ類に擬態していると考えられている.スカシバ類成虫は昼行性だが,他の昼行性の鱗翅類(チョウ類)と比べて訪花記録は少ない.隠岐諸島中ノ島と西ノ島において,2018年7月の梅雨明け直後にスカシバガ科3種の訪花行動を観察した.中ノ島の集落で植栽されたトウネズミモチでクビアカスカシバ雄とモモブトスカシバ雌の訪花を,西ノ島の放牧地に自生するハリギリでクビアカスカシバ雌とキオビコスカシバ雄の訪花を観察した.同時に,擬態のモデルと考えられているスズメバチ類やドロバチ類なども盛んに訪花しているのが観察された.モモブトスカシバはこれまでも多様な植物種で訪花が記録されてきたが,クビアカスカシバとキオビコスカシバについては著者らが知る限り初めての訪花記録となる.また,隠岐諸島からはこれまでモモブトスカシバを含むスカシバガ科6種が記録されているが,クビアカスカシバとキオビコスカシバは隠岐諸島から初めての記録となる.