著者
早川 文代 風見 由香利 阪下 利久 上平 安紘 池羽田 晶文
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.69, 2017

【目的】モモの品質には果肉部の軟らかさや特有の風味が重要である。しかし、部位差、剥皮時の果肉損傷および剥皮後の褐変が著しいため、官能評価が難しく、その報告例は少ない。本研究では、モモの分析型官能評価法を設計し、品種および追熟条件の異なる種々の試料の官能特性の数値化を試みた。<br>【方法】官能評価設計には、2014年、2015年産のモモ9品種(日川白鳳、浅間白桃、一宮白桃、川中島白桃、なつっこ、さくら、幸茜、甲斐黄桃、黄金桃)を用い、官能評価パネルの討議および篤農家への面接調査を行った。本評価では、2016年産の6品種について、出荷翌日の果実を、追熟なし、5℃あるいは20℃で4日間追熟させ、その後24時間20℃に置いて試料とした。パネルは選抜、訓練された9人とし、赤色照明下のブースで評価を実施した。各パネリストに試料1果を提示し、においかぎによる香りの評価後、自身で試料片を調製させ、風味およびテクスチャーを評価させた。あわせて、硬度および可溶性固形分を測定した。<br>【結果】「花様の香り」「ココナッツの香り」等、18特性について、各試料の官能評価データを得た。追熟によって、テクスチャーの軟化と香りの増加がみられ、その変化は20℃で顕著であった。においかぎによる香りの評価は、試料片の口中香の評価よりも、品種間差および追熟条件間差の検出力が高く、皮の香気の影響および味やテクスチャーとの相互作用の影響が推察された。