著者
百瀬 晶子 池羽田 晶文 上平 安紘 三浦 理代
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.11, pp.538-544, 2016-11-15 (Released:2016-12-23)
参考文献数
28
被引用文献数
1 1

(1)日本食の主食である米飯との組合せにより,GIを低下させるような副菜の検討を行った.副菜である検査食品は植物性食品5種類(こまつな,キャベツ,トマト,だいず,ながいも)を供試し,全てにおいて平均GIは100以下となった.特にながいもの検査食では,基準食に比べ摂取開始2時間の最高血糖値,血糖上昇曲線下面積(IAUC)共に顕著に低値を示した.これについて,ながいもの粘性物質マンナンが胃からの排出を遅延させ,食後血糖上昇抑制に関与したものと推察された. (2)検査食品中の成分とGI低下との関連を検討するため,総ポリフェノール量と食物繊維量を分析した.これらの成分含量とGIとの間に有意な相関は認められず,検査食品中のその他の成分や糖質構成による影響が複合的に作用したものと考えられた. (3) GI測定に応用可能な非侵襲血糖測定法の確立を目指し,負荷試験中のSMBGと近赤外スペクトルの相関について検討した.血糖値変化量と吸光度変化量の相関係数が0.6以上となる波長は約95%の負荷試験において確認された.波長は負荷試験ごとに変動するものの,単回帰分析により算出した推定血糖変化量から求めたIAUC およびGIは,SMBGによる血糖実測値に基づく結果を良く再現していた.
著者
早川 文代 風見 由香利 阪下 利久 上平 安紘 池羽田 晶文
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.69, 2017

【目的】モモの品質には果肉部の軟らかさや特有の風味が重要である。しかし、部位差、剥皮時の果肉損傷および剥皮後の褐変が著しいため、官能評価が難しく、その報告例は少ない。本研究では、モモの分析型官能評価法を設計し、品種および追熟条件の異なる種々の試料の官能特性の数値化を試みた。<br>【方法】官能評価設計には、2014年、2015年産のモモ9品種(日川白鳳、浅間白桃、一宮白桃、川中島白桃、なつっこ、さくら、幸茜、甲斐黄桃、黄金桃)を用い、官能評価パネルの討議および篤農家への面接調査を行った。本評価では、2016年産の6品種について、出荷翌日の果実を、追熟なし、5℃あるいは20℃で4日間追熟させ、その後24時間20℃に置いて試料とした。パネルは選抜、訓練された9人とし、赤色照明下のブースで評価を実施した。各パネリストに試料1果を提示し、においかぎによる香りの評価後、自身で試料片を調製させ、風味およびテクスチャーを評価させた。あわせて、硬度および可溶性固形分を測定した。<br>【結果】「花様の香り」「ココナッツの香り」等、18特性について、各試料の官能評価データを得た。追熟によって、テクスチャーの軟化と香りの増加がみられ、その変化は20℃で顕著であった。においかぎによる香りの評価は、試料片の口中香の評価よりも、品種間差および追熟条件間差の検出力が高く、皮の香気の影響および味やテクスチャーとの相互作用の影響が推察された。
著者
池羽田 晶文 後藤 剛喜 森澤 勇介 東 昇 尾崎 幸洋
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.19-31, 2011 (Released:2011-02-23)
参考文献数
48
被引用文献数
2 2

120~200 nmの遠紫外(Far Ultraviolet, FUV)領域には分子の外殻電子に関する遷移吸収バンドが観測される.これらは吸収係数が非常に大きいため,これまでは気体や固体表面の反射分光に用途が限られてきた.著者らはこれに対して減衰全反射(Attenuated Total Reflection, ATR)法を利用して液体試料の遠紫外分光が可能な装置を開発した.また,装置の簡便化のために光学系を真空にするのではなく,窒素パージを選択した.これによって液体試料の遠紫外スペクトル測定が容易となり,今まで未知であったスペクトルが次々と明らかになっている.水の第一電子遷移吸収帯もこれによって簡便な測定が可能となったが,その変化は水素結合状態に対して系統的な変化を示すことが明らかになってきた.本論文では水の遠紫外スペクトルの基礎からオンライン分析応用の可能性まで,これまでの成果を幅広く紹介する.