著者
阿部 博行 菊池 慎一 吉田 孝行 山口 尚之 酒井 敏行
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.553-557, 2019 (Released:2019-06-01)
参考文献数
12

トラメチニブは抗がん剤として世界で初めて承認されたMEK阻害薬である。しかし,我々は始めからMEK阻害薬の開発を目指したわけではない。細胞周期抑制因子p15INK4bの発現を上昇させる化合物探索のために開発したフェノタイプスクリーニングによってリード化合物を見出し,がん細胞増阻害活性を指標に医薬品として構造最適化することによってトラメチニブ創製に至った。後に,その標的分子はMEKであることを明らかにした。本稿では,first-in-classの分子標的薬トラメチニブの創薬研究とがん治療における臨床的意義について紹介する。