- 著者
-
阿部 新助
- 出版者
- 神戸大学
- 雑誌
- 若手研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2006
本研究の目的は、惑星間空間から地球へもたらさせる彗星・小惑星起源物質(流星ダスト)から、組成と軌道およびその進化を明らかにすること、流星の超高層大気での発光素過程を調べることである。平成18年度に開発を行った超高感度紫外分光TVカメラと汎用小型TVカメラを用い、平成19年度は、幾つかの観測を施行した。汎用小型TVカメラ一式は、京都大学生存圏研究所・MU 信楽観測所内に設置を行い、リモート観測を継続的に行った。関連成果として、Earth-grazing fireball(地球大気突入後、宇宙へ戻った隕石火球)の観測に成功し、近地球型アポロタイプ小惑星軌道であることなどを突き止めた(研究成果欄参照)。同型の小惑星である小惑星イトカワの探査データを用い、イトカワの平均密度、空隙率、組成や重力場の導出行い、申請者が筆頭あるいは主導的役割を担った論文は、Science, Nature他に掲載された。また、超高感度CCD-TV紫外分光観測システムを用い、2007年9月に長周期彗星起源流星の分光観測をハワイで行ったが、悪天候に阻まれた。同システムを用い、2007年10月オリオン座流星群、12月ふたご座流星群の分光観測に成功した。また、EMCCDカメラ(五藤光学研究所)を使い、流星体の月面衝突閃光を世界で始めてカラーで捉えることに成功した。これらのデータの一部は、論文や学会を通して発表を行った。また、彗星・小惑星と流星の関連について、「Meteoroids and Meteors - observations and connection to parent bodies(S. Abe), in Small Bodies in Planetary Systems(Eds. Ingrid Mann, Akiko Makamura, Tadashi Mukai, Springer-Verlag)」に大学院生向けの教科書としてまとめた。