著者
川口 善治 関 庄二 阿部 由美子 木村 友厚
出版者
日本腰痛学会
雑誌
日本腰痛学会雑誌 (ISSN:13459074)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.70-75, 2008 (Released:2008-12-22)
参考文献数
16

腰痛の原因は多因子であるが,一つのターゲットとして腰椎椎間板疾患(腰椎椎間板変性や椎間板ヘルニア)が考えられている.腰椎椎間板疾患の発症にはこれまで,環境要因によるものが主体であると考えられていたが,近年遺伝的素因の重要性が指摘されるようになってきた.すなわち疫学的手法を用いた研究では,腰椎椎間板疾患には家族集積性があることが示されている.また,一卵性双生児の椎間板の形態は非常に類似していることが知られている.このように腰椎椎間板疾患には遺伝的素因があるという多くのデータを受け,本疾患がいくつかの遺伝子多型および,ある遺伝子変異と関連することが相次いで報告されてきた.これまでに報告のある椎間板疾患関連の遺伝子は,大きく分けると三つの概念に分類される.·椎間板構成成分に関連する遺伝子:·型コラーゲン遺伝子(COL9A2,COL9A3)とアグリカン遺伝子(AGC1),·細胞外基質の合成および,分解酵素に関連する遺伝子:MMP-3遺伝子,·他の結合組織(主に骨,軟骨)に関連する遺伝子:ビタミンDレセプター遺伝子(VDR遺伝子)である.しかし,腰椎椎間板疾患の疾患感受性遺伝子を同定しようとするこれまでの研究においては,3つの大きな問題点があった.これらは,·腰椎椎間板疾患の定義が曖昧であること,·caseとcontrolの絶対数が不足していること,そして最大の問題は·機能解析がなされていない,すなわちなぜ問題となる遺伝子異常が腰椎椎間板疾患を引き起こすのかというメカニズムが全くわかっていないことであった.われわれ,理化学研究所,慶應義塾大学,京都府立医科大学,富山大学の研究グループはこの点をクリアし,cartilage intermediate layer protein(CILP)遺伝子が腰椎椎間板疾患の代表である腰椎椎間板ヘルニアの原因遺伝子であることを見つけ,2005年に報告した.その後もこの分野の研究の発展はめざましく,年々新しい報告がなされ知見が蓄積されつつある.さらに最近では炎症のmediatorであるIL-1やIL-6の遺伝子多型が,腰痛や下肢痛と関連している可能性が報告されている.本発表では,腰椎椎間板疾患の疾患感受性遺伝子について,これまで明らかになっている知見を解説し,腰痛の原因に迫る研究の展望と問題点について述べる.
著者
三輪眞 木子 佐藤 正惠 山下 ユミ 磯部 ゆき江 阿部 由美子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第18回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.67-72, 2021 (Released:2021-06-21)

高齢者のヘルスリテラシーと健康寿命の関係を探求するため、医療者計10名を対象に、2020年1月~6月に、対面、Web、電話により半構造化インタビューを実施した。健康維持に前向きな高齢者は家族との関係が良く、健康への関心が高く、食事や規則正しい生活に気を付け、趣味等の楽しみや目標を持ち、話し好きで仲間がいる。ヘルスコミュニケーションがとれている高齢者は治療がうまくいっており家族のサポートがあり、テレビや新聞等で健康医療知識を得ている。治療に関する意思決定に積極的に参加する高齢者は、主体的に健康医療情報を獲得する。高齢者には、かかりつけ医を作る、運動する、家族と親密につきあう、自分の健康に関心を持つ、趣味や目標を持つ、栄養バランスの良い食生活を心掛ける、外に関心を持ち仲間とともに取り組むことが求められる。健康維持への取組に男女差があり、仕事を辞めた後、地域と関連しない孤立男性に課題があることが示唆された。
著者
阿部 由美子
出版者
満族史研究会
雑誌
満族史研究 (ISSN:13474669)
巻号頁・発行日
no.6, pp.40-63, 2007-12
著者
酒井 清司 阿部 由美子 金森 昌彦 黒田 重史
出版者
Japan Shoulder Society
雑誌
肩関節 = Shoulder joint (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.277-279, 1999-07-30
参考文献数
3

Our objective was to elucidate the effective factors for atrophic changes of a torn supraspinatus muscle quantatively.<BR>Patients and Methods. We analyzed the data of 100 patients with shoulder pain and examined their MRIs due to shoulder pain; the clinical features and the measured data from the MRI; the severity of the cuff tear, the area of the supraspinatus muscle sectioned oblique sagittally at the articular edge of the glenoid (S). To revise the physique differences, the maximum transverse diameter of the humeral head (D) was also measured. The severity of the cuff tears were divided into 6 grades; no tear (grade 0), partial thickness tear (grade 1), small tear (grade 2), medium tear (grade 3), large tear (grade 4), massive tear (grade 5). A stepwise regression analysis was used for the detection of the effective factors.<BR>Results.1) 67 cases had no-cuff tear and 33 cases had a cuff tear.2) In the no-cuff tear group, the sectioned area of the supraspinatus muscle (S) simply correlated with the maximum transverse diameter of the humeral head (D) no relation with sex or the side, hence the S/D was used as the revised marker of the sectioned area of the supraspinatus muscle. The stepwise regression analysis resulted in S/D=550.9-2.5x(age) in the no-cuff tear group (P<0.01).3) In the cuff tear group, stepwise regression analysis resulted in S/D=705.0-53.3x(cuff tear grade)-4.5x(age) (P<0.01).<BR>Conclusion. Deterioration of the rotator cuff tear may be a more of a causative factor for atrophic changes of the supraspinatus muscle than aging.