著者
阿部 茂樹
出版者
東北大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2016

研究目的 : ディジタルシステムの制御回路設計や演算アルゴリズムを短時間で実習する環境を提供することを目的とし、プログラマブルデバイスの一つであるFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いた実習システムを構築した。その例として種々のソーティングアルゴリズムをハードウェア記述言語を用いてプログラミングし、それを可視化するための表示回路を製作し、その動作確認を行った。研究実施計画 :1. 論理回路の基礎である種々の演算アルゴリズムに対しハードウェア記述言語を用いて回路記述を行い、2進数で与えられた入力の値を7Seg-LEDに10進数で表示させる2つの変換アルゴリズムについて演算速度、回路面積等の評価をする。2. ソーティングアルゴリズムを例として、簡単なアルゴリズムであるバブルソート、選択ソート、挿入ソート、高速なアルゴリズムであるクイックソート、ヒープソート、マージソートなど種々のアルゴリズムをプログラマブルデバイスで実現し性能比較をするとともに処理ステップ毎に可視化できるようなハードウェア構成とする。また、特徴などを解説できる資料の作成を行う。研究結果 :1. 2進数で与えられた値を10進数に変換する方法として、一般的に考えられる減算法と高速な計算ができるシフト演算法の2つについてプログラミングし、FPGAで動作させることによって演算速度の違いを体感できるシステムを構築することができた。また、論理シミュレーションによって2つのアルゴリズムの動作速度やハードウェアの使用面積などを評価でき、短時間で効果的な実習を可能とすることができた。2. 種々のソーティングアルゴリズムについてプログラミングし、論理シミュレーションによって演算終了までの演算速度の比較を行うことができるとともに、演算過程および3段階前までの演算履歴を可視化できるシステムを製作し、アルゴリズムだけでなく表示システムの制御と併せて学習できる実習環境を提供することができるシステムを構築できた。
著者
真山 享 赤井 裕輝 渡辺 力夫 阿部 茂樹 門伝 昌巳 本郷 道夫 豊田 隆謙 後藤 由夫
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.11, pp.1017-1022, 1987-11-30 (Released:2011-08-10)
参考文献数
15
被引用文献数
1

糖尿病性自律神経障害による胃排出能の異常が食事摂取後のインスリン需要動態および血糖コントロールに与える影響について検討した. 胃排出能正常な糖尿病者 (N群) 4名, 胃無力症 (胃排出能高度異常) の糖尿病者 (G群) 7名の計11名を対象とした.胃排出能は99m-Tc-Tin colloidにより標識した試験食摂取後のアイソトープ胃内残存量をガンマカメラにて経時的に測定し, 全例に人工膵島 (Biostator®) によるfeedback controlを行い, インスリン注入動態を観察した.G群では食後のアイソトープ胃内残存率がN群に比較して高値であり, 150分後ではG群, 74.1±7.4%(M±SD), N群21.3±5.4%であった (p<0.01). 食後インスリン需要量はN群でG群よりも高値であり, 150分後ではN群11.7±5.3単位, G群5.6±2.1単位であった (p<0.05).prokinetic agentの投与により, 胃排出能が著明に改善した6例では, 血糖日内変動, HbA1ともに明きらかに改善し, 良好なコントロールが得られた.胃排出能の異常は血糖の不安定性の原因の1つであり, インスリン需要動態に大きな異常をもたらす. 胃排出能の改善により, 食後インスリン需要量が適正化し, 良好な血糖コントロ一ルを得ることが可能となる.