著者
信太 隆夫 降矢 和夫 水野 勝之 我妻 義則 松山 隆治 宮田 亮
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.19, no.10, pp.739-751,800-80, 1970-10-30 (Released:2017-02-10)

現代日本で最も普遍的な花粉症の原因花粉はスギ花粉で, 次いでヨモギ, イネ科, ブタクサなどが重要である.スギの抗原としての独立性は高く, イネ科, ヨモギ, ブタクサあるいはシロザなどが時に相互に類似性を示すことと対照的である.いわゆる花粉症と花粉喘息を比較観察し次の結果を得た.1)花粉喘息の発症年令は花粉症より若く, かつ2峰性の分布を示す.2)花粉喘息は花粉症を繰返して生ずるより初めから喘息として発症することが多い.3)花粉喘息のAch感受性は明らかに高い.4)花粉症の発作季節は原因花粉飛散季節と一致するが, 喘息ではしばしば春秋型をとり, 必ずしも花粉季節と一致しない.5)花粉症も花粉喘息も主因外花粉に対する皮内反応はほゞ同様の傾向を示すが, 花粉以外のHDや真菌類に対しては花粉喘息は明らかに高い陽性率を示す.6)花粉喘息のPK価は皮内反応の閾値との関係において花粉症のそれより低い.
著者
宇佐神 篤 降矢 和夫 遠藤 久子
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.29, no.8, pp.780-785, 1980
被引用文献数
11

スギ花粉飛散期におけるスギ花粉の空中飛散総数を, 飛散開始の数カ月前に知ることができれば, スギ花粉症の治療対策をたてるのに役立つ.その目的のため, 相模原市消防本部資料による同市の気象条件(4-12月と1-3月の各月の平均気温, 平均相対湿度, 雲量, 降水量)とスギ花粉年間飛散総数(空中花粉調査における1cm^2あたりのスギ花粉検出数の年間総和で表した)の関係を毎年過去15年間検討し, 次の結論を得た.1. 7月の平均湿度が翌年のスギ花粉飛散総数と最も相関が高かつた.7月の平均気温が23.9℃以上の場合は, 7月の平均湿度と翌年のスギ花粉年間飛散総数間に高い負の相関が認められた.2. 相模原市におけるスギ花粉年間飛散総数の予測式は次のとおりである.Y=-330X+28336(ただし, Yは翌年のスギ花粉年間飛散総数, Xは7月の平均気温が23.9℃以上の場合の7月の平均湿度である).3. 7月の平均気温が23.6℃以下の場合は, 翌年のスギ花粉年間飛散総数が, 平年値より減少した.4. スギ花粉飛散期の気象と同年のスギ花粉年間飛散総数との間の相関は低かつた.
著者
杉田 和春 降矢 和夫
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.19-23,75, 1964
被引用文献数
6

国立相模原病院において, 空中の花粉を調べたところ, 花粉数は春・秋に多く夏には少なく, 冬にはほとんど0である.それでこの中で, 開花期が8月-9月であるブタクサと, 5月-6月であるカモガヤとについて, 次のことを確かめた.(1)これらの花粉を, それぞれの開花期にアレルギー性疾患患者に吸入させたところ, ブタクサは22名中11名に, カモガヤは18名中2名に, アレルギー症状即ち花粉症が起こった.対照と同程度の軽い症状を示した患者は陽性者から除いてある.(2)これらの花粉エキスによる皮内反応が陽性である気管支喘息患者の発作は, それぞれの開花期以後に増加している.(3)これらの花粉の吸入によるアレルギー症状の強さは, それぞれの皮内反応の強さと大体平行する.