著者
水島 徹 難波 卓司
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug delivery system (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.106-112, 2011-03-31

2010年問題の本質は, 大手製薬企業における主力医薬品の特許切れではなく, それに代わる新薬開発の停滞である. この主な原因は臨床試験で予想外の副作用が発見され, 多額の費用を投じて開発した医薬品を発売できないことである. そこでわれわれが注目しているのは, ヒトでの安全性が確認されている既存薬(臨床で使われている医薬品)の作用を最新の研究手法を用いて網羅的に解析し, 新しい薬理作用を発見し別の疾患治療薬として開発する研究(ドラッグリプロファイリング研究(DR研究))である.<br>DR研究の利点は, 臨床試験が予期せぬ副作用で失敗する確率が格段に低いこと, および医薬品開発にかかる時間とコストを削減できることである.