著者
結城 美佳 数森 秀章 駒澤 慶憲 福原 寛之 山本 俊 雫 稔弘
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.1165-1169, 2009 (Released:2012-07-17)
参考文献数
10

われわれは,経鼻内視鏡検査時の前処置として,鎮痙剤の代替としてのPeppermint Oil Solution(以下POS)の有用性を評価するための検討を行った.健常成人8人(男性3人,女性5人,平均年齢37.9歳)を対象に経鼻内視鏡検査を施行し,POS20mlを前庭部に散布し,その前後それぞれ3分間の蠕動回数を計測した.POS散布後,前庭部の蠕動回数が有意に抑制された.その効果は散布後1分で出現し,3分まで続いた.また同時に測定した血圧,動脈血酸素飽和度,脈拍は検査有意な変動を示さず,特に副作用などは認めなかった.経鼻内視鏡検査時のPOS散布による蠕動抑制は有効であり,今後POS使用により経鼻内視鏡検査では鎮痙剤を使用せずとも,安全に十分な観察が可能である可能性が示唆された.
著者
内田 靖 雫 稔弘 山本 俊 赤木 収二 渡辺 誠 木下 芳一
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.322-326, 1999-05-25 (Released:2010-02-22)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

症例は74歳男性, 無職. 平成6年11月23日, 発熱と肝機能異常にて当院内科に入院. 原因は特定されず約2週間後に自然に解熱し, 退院となった. 平成7年3月中旬から再び同症状が出現したため, 4月5日再入院. 38℃台の発熱が持続したが, 検査所見ではCRP強陽性, 中等度の肝機能異常を認める以外に著変なく, 肝炎ウイルスおよび他のウイルスマーカーも全て陰性であった. この際初めて, 平成6年9月から初回入院迄, および退院後から再入院迄, 健康食品であるクロレラ製剤の服用が明らかとなった. そのため同製剤の服用中止にて経過観察し, 解熱および肝機能の改善が認められた. 同製剤に対するリンパ球刺激試験は陽性であり, 臨床経過から偶然の再投与による肝機能障害と考えられた. 以上から, クロレラ製剤による薬物性肝障害と診断した. 解熱後施行した腹腔鏡検査所見および肝組織像も薬物性肝障害に矛盾しないものであった.