著者
瀧元 沙祈 中 知華穂 銘苅 実土 後藤 隆章 雲井 未歓 小池 敏英
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.65-75, 2016 (Released:2019-03-19)
参考文献数
13
被引用文献数
1

本研究は、改行時に途切れたひらがな単語を音読する際の特徴を、通常音読と比較して検討した。定型発達児と比べて、改行単語の音読潜時が長い(2SD以上)LD児において、発話時間が長いタイプと、発話時間は同程度であるタイプを確認した。ロジスティック分析の結果、2~5文字のひらがな有意味単語の発話時間が通常音読で短い場合に、改行単語の発話時間が短く、音読が効率的になることを指摘した。一方、通常音読の5文字で音読潜時が延長し、標準未達成であったが、改行5文字で音読潜時が短縮し、標準達成を示したLD児を認めた。その中で、改行5文字条件の発話時間が延長した者では、文字―音変換に強く依存した読み方略を選択した可能性が示唆された。これらの者は、改行音読で自己修正を伴う誤反応の増加を示さなかった。自己修正には、概念的準備と音韻的単語が関与するため、これらの者では、改行単語の意味把握が阻害されたことを推測できる。
著者
雲井 未歓 渡邉 流理也 小池 敏英
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学教育学部研究紀要. 教育科学編 (ISSN:09136606)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.89-101, 2005-03-25

本研究は,高機能広汎性発達障害児14名を対象として行われた集団指導の内容を評価し,その適合性を,対象児の行動特性との関連で明らかにすることを目的とした。14回の指導についての評価結果を,指導のねらいごとに整理して,主成分分析した。その結果3つの成分が抽出され,それぞれ,集団活動への積極的関与,場面理解と自己統制,集団の楽しさへの志向性を反映することが指摘できた。対象児の行動特性は,保護者に対する質問紙調査によって検討した。これらの結果から,対人関係の形成が良好な児では,集団への参加が積極的であるが,言語発達の遅れやこだわりがある場合には,場面理解と自己統制を要する活動で,支援の必要性が高いことが指摘された。また,行動上の困難が全体として少ない児では,集団場面での自己統制がなされやすい一方,集団での積極的な行動や,楽しんで参加することを支援する必要性が指摘された。