著者
霜田 政美 上和田 秀美 木口 憲爾
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.289-294, 1994-11-25 (Released:2009-02-12)
参考文献数
19
被引用文献数
5 6

甘藷の食葉性害虫であるエビガラスズメを実験昆虫化する目的で野外より導入し,人工飼料を用いて約3年間の累代飼育を行った。その飼育個体群について,個体飼育および集団飼育における発育過程の概要とその特徴を明らかにした。27°C, 16L-8Dの光周期条件下では孵化後12∼14日で5齢幼虫に脱皮,21∼26日で蛹化,36∼41日で羽化した。5齢幼虫は最大で体重11∼12g,体長8cmに達した。幼虫脱皮,蛹化,羽化いずれにも日周性が認められ,それぞれの発育ステージに固有の時間帯に脱皮した。また,欧米で実験昆虫として多用されているタバコスズメガと比較し,本種がタバコスズメガとほぼ同様の経過で発育することを明らかにした。本種は安定した通年累代飼育が可能で,今後タバコスズメガに匹敵する実験昆虫として幅広い利用が期待される。
著者
霜田 政美
出版者
国立研究開発法人農業生物資源研究所
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

果樹の重要害虫であるチャバネアオカメムシは「薄明薄暮性」の活動リズムパターンを示す。この薄明薄暮性が、日の出や日没時の超微弱光によってどのような支配を受けているのかを調査した。高感度アクトグラフを用いて直径4cmプラスチック容器内での微小動作を検出したところ、市民薄明よりも低照度の光で活動が励起され、特定の光受容体の吸収波長が強く支配していることが示された。
著者
霜田 政美
出版者
北日本病害虫研究会
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
vol.2018, no.69, pp.1-9, 2018-12-21 (Released:2019-12-21)
参考文献数
23

近年,昆虫の光や色に対する応答反応(光応答反応)の研究が進み,その知見を活用した害虫防除法,即ち“光防除”の研究が進んでいる.光防除は,生産現場の光環境や農業資材の色彩などを操作して病害虫の発生や侵入を抑制することから,薬剤抵抗性を獲得した害虫の防除に利用できる.また,光を用いた技術は,化学農薬を使用せずに害虫被害を抑制できることから,減農薬栽培の助けになる技術である.本稿では,昆虫の光応答反応について説明し,それらを用いた最近の技術開発の状況について具体的事例を挙げながら解説する.光防除技術が,より環境に優しい栽培体系の確立と普及につながることを期待したい.
著者
石田 直理雄 花井 修次 霜田 政美 浜坂 康貴 宮崎 歴
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2002

種形成のための生殖前隔離分子機構としてショウジョウバエの交尾リズムの重要性を研究してきた。これまでの研究結果は,交尾時間を制御する雌特異的分子機構の存在を強く示唆している。既にこれまでの実験結果からアナナスショウジョウバエもキイロショウジョウバエやオナジショウジョウバエと異なるそれぞれの種独自の交尾リズムを示す事を示してきた。さらに,オナジショウジョウバエの時計遺伝子がどの程度キイロショウジョウバエの交尾リズムに影響を与えるかも解明してきた。現在,ロコモーター行動リズムや羽化リズムに関る脳内中枢は既に同定されているが,交尾リズムの中枢については全く未知である。そこで,交尾リズム脳内中枢を同定する目的で欠失変異株(per0)にPER蛋白質を様々な部位で発現しているトランスジェニックフライを用いてその交尾リズムの有無を解析してみた。その結果交尾リズム中枢は,行動リズムの中枢と別の部位であることを同定した。そこで,RNAi法を用いてこれら複数の領域を絞り込んだところ,DN1,2,3とLNd領域でのperの発現が交尾リズムに必要である事が明1らかとなった。生殖前隔離機構の1つとして雄バエが雌バエを追いかけるproximityリズムをビデオで測定する系を確立し,これに関わる脳内中枢の同定に成功した。脳内中枢の同定には,UAS/GAL4の系を用い,夜時計昼時計特異的な細胞死を起こしたショウジョウバエを使った。その結果,夜時計中枢の破壊を行った時のみproximityリズムが消失した。この中枢は我々が既にお見合い法で同定した雌の交尾受け入れ中枢とは異なる事から雌の交尾成功率を左右する脳内中枢と雄のproximity中枢が共進化することが解明された。