著者
和田 淑子 霜田 有花 肥後 温子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.48, no.7, pp.597-606, 1997-07-15 (Released:2010-03-09)
参考文献数
11

低水分食品が微量の水分吸着によって硬くなったり, 軟らかくなる現象について, 市販の菓子・ 乾物類など31種類を用い, 6 段階の湿度条件下 (相対湿度 7.6~97.0%) で検討し, 以下の結果を得た.(1) 試料は吸湿後, ある時点より硬さが低下し軟化するグループ (クッキー類, ビスケット類, ボーロ類, クラッカー類, ゲル化製品) と, 硬さの低下が少ないか, むしろ硬くなるグループ (米・ 小麦煎餅類, 乾パン類, スナック菓子, 種実類, その他の乾物類) に分類できた. 軟化するグループは湿度 43% 付近より軟化が進み, 軟化しにくいグループは湿度 68% 付近で硬さがピークに達する場合が多いことがわかった.(2) 吸湿曲線の大部分は二つの変曲点をもつS 字状曲線を示した. 単分子吸着水量は 2.5~14g / 100g乾燥物で, 試料による差が大きかった.(3) 大部分の食品において, 単分子吸着水領域以上の広い吸着水領域においてテクスチャー変化が少なく, むしろ水分吸着によってテクスチャーが安定化した.(4) 吸湿後, 軟化しやすい食品グループは 5% 程度の水分量で軟化するものが多く, 軟化しにくいグループは 10% 程度の含水率でも軟化しないものが多かった. 前者は後者に比べて単分子吸着水量が少なく, 高湿度での吸着水量が増大するものが多い傾向があった.