著者
栗山 満美子 中尾 心人 木下 亮輔 清利 紘子 杉原 雅大 武田 典久 深井 美樹 山田 和佳 北島 聖晃 露木 琢司 村松 秀樹
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.307-313, 2023 (Released:2023-12-22)
参考文献数
13

〔背景と目的〕呼吸器診療において,胸水を用いたセルブロック(Cell Block;CB)は頻用されている。一方で気管支鏡検査において鉗子・ブラシ洗浄液を用いたCBが病理診断に有用であったという報告は少なく,この有用性を明らかにするために後方視的に症例検討を行なった。 〔対象と方法〕2016年6月から2021年5月の間に当院で気管支鏡検査時に,鉗子・ブラシ洗浄液を用いたCBを作成した症例を検討対象とし,これにより追加情報が得られた症例について詳細な検討を行なった。 〔結果〕対象期間中に鉗子・ブラシ洗浄液を用いたCBを作成したのは138例であった。このうち102例でEBUS-GSを用いていた。最終診断は肺癌114例,感染症10例,転移性肺腫瘍8例,リンパ増殖性疾患2例,サルコイドーシス1例,器質化肺炎1例であった。CBにより追加情報が得られたのは13例で,すべて悪性腫瘍の症例であった。 〔結論〕気管支鏡検査における鉗子・ブラシ洗浄液を用いたCBは一部の症例において病理診断に有用である。
著者
中川 暢彦 阪井 満 村井 俊文 末岡 智 篠塚 高宏 藤田 恵三 露木 琢司 中島 広聖
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.113-117, 2018 (Released:2018-08-01)
参考文献数
14

症例は74歳の男性.深夜に急激に生じた腹痛を主訴に当院救急外来を受診した.腹部膨満を認め,上腹部に腹膜刺激症状を認めた.腹部造影CT検査では,横行結腸に著明な浮腫性肥厚と周囲脂肪識の濃度上昇を認めた.NOMIによる腸壊死を疑い,緊急手術を施行した.術中所見では,肝彎曲部からの横行結腸および間膜に著明な浮腫と発赤を認めたが,壊死や穿孔の所見は認めなかった.肉眼的に正常な回腸末端から横行結腸中央部までの右半結腸切除術を施行した.病理組織学的検査では静脈を主体にリンパ球浸潤を認め,一部では静脈閉塞も認めた.動脈には炎症所見を認めず,enterocolic lymphocytic phlebitis と診断した.術後経過は良好で術後第9病日に退院し,以降再発は認めていない.今回,稀なenterocolic lymphocytic phlebitis を経験したので報告する.