著者
韓 準祐 柳 銀珠
出版者
多摩大学グローバルスタディーズ学部
雑誌
紀要 = Bulletin (ISSN:18838480)
巻号頁・発行日
no.11, pp.1-11, 2019-03-31

バリアフリー化を促す関連法律の制定と施行が続くなか、社会福祉学、工学、建築学、観光学等の多様な学問領域で交通、施設、情報アクセス等におけるバリアフリー化に関する研究が行われた。しかし、観光研究において、バリアフリー以外の障害者の観光を取り巻く環境を総合的に考察する試みは必ずしも十分ではない。本稿では、身体障害者の就業、課税・公的年金及び手当等を含めた収入に関連するデータの分析を行い、身体障害者の経済的状況が、彼らの観光における阻害要因の一つになっていることを明らかにする。
著者
韓 準祐
出版者
観光学術学会
雑誌
観光学評論 (ISSN:21876649)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.91-106, 2016 (Released:2020-01-13)

本稿では、まず、観光まちづくり研究が成功事例の紹介と実践的なマニュアル化を意識した観光まちづくり擁護論に偏るなか、地域内外の多様なアクターの声と実践が捨象される課題を指摘した。次に、観光まちづくりの政策化に対する懐疑的視点からの考察、さらに観光まちづくり実践が行われる地域内における葛藤や対立に焦点を当てる研究など、観光まちづくり擁護研究に対する批判的考察をまとめた。その後、観光まちづくりの成功例でありながら、由布市への合併をめぐる地域内部の対立にも焦点が当てられてきた大分県由布院を事例として取り上げた。由布院内外の多様なアクター間で生じる軋轢や葛藤、対立の詳細について考察することで、観光まちづくり実践の成功物語及びその応用を視野に入れた観光まちづくり擁護論では掬い取られず、その批判論においても十分理解されないことが由布院の現在をかたちづくる上で重要な意味を有していることを明らかにした。