著者
小森 佑美 笹井 由利子 須原 伸子
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 第57回日本農村医学会学術総会 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
pp.178, 2008 (Released:2009-02-04)

【はじめに】現在、当院では、顔の清拭を朝と夕方に蒸しタオルにて行っているが、眼脂が残っていることがあり、眼の清拭が不十分だった。布団を掛け臥床している患者にとって、顔は第一印象となる。しかし、長期臥床患者は自己にてケアすることができず、眼脂の多い患者は、点眼薬を使用し続け悪循環となる。また、点眼薬に関する研究は数多くされているが、眼清拭に関する研究はほとんど見あたらず、関心の低さが伺えた。そこで、2%ホウ酸水コットンにて眼清拭を取り入れた結果、洗浄や点眼を使用しなくても眼脂が減少し、効果が得られたので、ここに報告する。【研究方法】1.研究期間:2007年7月~9月 2.研究対象:当院長期療養型病棟入院中65歳以上の寝たきり患者 3.方法:_丸1_2%ホウ酸水コットンを作り、朝・昼・夕方に眼清拭をする。_丸2_点眼薬使用者は、医師の許可を得て、ケア期間中点眼薬の使用を中止し、すべての患者を同じ条件にて行う。_丸3_手洗い後、又は手袋を使用し眼脂の少ない側から拭く。拭く時は、まず初めに目頭部分の眼脂を拭き取り、コットンの面を変えて目頭から目尻にむかって拭く。 評価方法:スケール表を個別に作成し、両眼計30点で1週間ごとに3回評価する。【研究結果および考察】眼脂は、眼清拭実施前も眼清拭実施後も朝に多くみられた。また、眼脂は目頭側に一番多くみられ、続いて目尻側に多くみられた。点眼薬未使用者だけでなく眼清拭実施前点眼者(以後点眼者とする)も、眼清拭実施後どの時間帯にも眼脂の量は減少した。分析の結果、有意差があり(p<0.00)眼清拭が効果的だったと言える。また、点眼者に対しても有意差があり(p<0.05)、眼清拭は効果的だったと言える。そのため、現在も点眼薬を使用せず経過している。しかし、眼清拭実施後、眼脂の量はある一定量まで減少したが、分析の結果、有意差はなく眼脂量が減少しつづけているとは言えなかった。眼脂は夜間閉眼していることや、ケアをしない時間が長いことで朝に多くみられたと考えられる。そのため、夜間のケアを導入すれば、もっと眼脂の減少につながると思われるが、患者の睡眠を配慮すれば、必須とは言えない。評価方法に関しても、個別のスケール表を使用したが、有る無は分かっても、量的な評価に関しては難しさを感じた。眼脂が目頭側に多く見られたのは、目頭には鼻涙管があることが考えられ、一般的な拭き方では、眼脂を広げることになる。そこで、初めに目頭側の眼脂を拭き取ってから、コットンの面を変え目頭から目尻に向かって拭くことが眼脂の減少につながったのではないかと考えられる。また、結果から目尻側を最後にもう一度拭き取る清拭方法を見直すことが、より効果的だったと考えられる。【結論】高齢で長期臥床患者の眼脂は、2%ホウ酸水コットンにて眼清拭をすることで減少した。しかし、消失することはなかった。
著者
小森 佑美 笹井 由利子 須原 伸子
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.178, 2008

【はじめに】<BR>現在、当院では、顔の清拭を朝と夕方に蒸しタオルにて行っているが、眼脂が残っていることがあり、眼の清拭が不十分だった。布団を掛け臥床している患者にとって、顔は第一印象となる。しかし、長期臥床患者は自己にてケアすることができず、眼脂の多い患者は、点眼薬を使用し続け悪循環となる。また、点眼薬に関する研究は数多くされているが、眼清拭に関する研究はほとんど見あたらず、関心の低さが伺えた。そこで、2%ホウ酸水コットンにて眼清拭を取り入れた結果、洗浄や点眼を使用しなくても眼脂が減少し、効果が得られたので、ここに報告する。<BR>【研究方法】<BR>1.研究期間:2007年7月~9月 2.研究対象:当院長期療養型病棟入院中65歳以上の寝たきり患者 3.方法:_丸1_2%ホウ酸水コットンを作り、朝・昼・夕方に眼清拭をする。_丸2_点眼薬使用者は、医師の許可を得て、ケア期間中点眼薬の使用を中止し、すべての患者を同じ条件にて行う。_丸3_手洗い後、又は手袋を使用し眼脂の少ない側から拭く。拭く時は、まず初めに目頭部分の眼脂を拭き取り、コットンの面を変えて目頭から目尻にむかって拭く。 評価方法:スケール表を個別に作成し、両眼計30点で1週間ごとに3回評価する。<BR>【研究結果および考察】<BR>眼脂は、眼清拭実施前も眼清拭実施後も朝に多くみられた。また、眼脂は目頭側に一番多くみられ、続いて目尻側に多くみられた。点眼薬未使用者だけでなく眼清拭実施前点眼者(以後点眼者とする)も、眼清拭実施後どの時間帯にも眼脂の量は減少した。分析の結果、有意差があり(p<0.00)眼清拭が効果的だったと言える。また、点眼者に対しても有意差があり(p<0.05)、眼清拭は効果的だったと言える。そのため、現在も点眼薬を使用せず経過している。しかし、眼清拭実施後、眼脂の量はある一定量まで減少したが、分析の結果、有意差はなく眼脂量が減少しつづけているとは言えなかった。眼脂は夜間閉眼していることや、ケアをしない時間が長いことで朝に多くみられたと考えられる。そのため、夜間のケアを導入すれば、もっと眼脂の減少につながると思われるが、患者の睡眠を配慮すれば、必須とは言えない。評価方法に関しても、個別のスケール表を使用したが、有る無は分かっても、量的な評価に関しては難しさを感じた。眼脂が目頭側に多く見られたのは、目頭には鼻涙管があることが考えられ、一般的な拭き方では、眼脂を広げることになる。そこで、初めに目頭側の眼脂を拭き取ってから、コットンの面を変え目頭から目尻に向かって拭くことが眼脂の減少につながったのではないかと考えられる。また、結果から目尻側を最後にもう一度拭き取る清拭方法を見直すことが、より効果的だったと考えられる。<BR>【結論】<BR>高齢で長期臥床患者の眼脂は、2%ホウ酸水コットンにて眼清拭をすることで減少した。しかし、消失することはなかった。