- 著者
-
須田 一哉
- 出版者
- NPO法人 日本シミュレーション&ゲーミング学会
- 雑誌
- シミュレーション&ゲーミング (ISSN:13451499)
- 巻号頁・発行日
- vol.24, no.1, pp.1-10, 2016-03-30 (Released:2019-11-01)
- 参考文献数
- 31
ゲーム依存はデジタルゲームの普及に伴って社会的関心が高まってきたテーマである.しかし,ゲーム依存の定義に資する社会調査研究の多くは欧米で行われており,これらの知見が日本のゲーム依存の実態解明にどの程度適用できるのかといった点については,十分検討されてこなかった.本研究では,先行研究で用いられている依存の定義から設計された尺度を用い,日本の高校生を対象にゲーム依存傾向とゲーム行動を調べる質問紙調査を行った.その結果,全体に占める依存者の割合や,依存者のプレイ頻度やプレイ時間が有意に多いこと,睡眠時間が有意に少ない点などにおいて先行研究との類似が見られた.一方,男子では依存者,非依存者ともにゲームがコミュニケーションの一部になっている実態が明らかにされたが,女子では依存者と非依存者の間にゲームを介したコミュニケーション行動に差が見られ,ゲーム行動における性差が,依存者で少なくなっていることが示された.特に女子依存者は,コミュニケーション行動における問題表出のひとつとしてゲーム依存がある可能性が示唆され,男女間でゲーム依存につながる要因に差がある可能性が示唆された.