著者
十字 文子 高嶋 宏哉 須甲 松伸 土肥 真 高石 敏明 奥平 博一 伊藤 幸治 宮本 昭正
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.39, no.11, pp.1515-1522, 1990
被引用文献数
5

17歳の女子.既往に気管支喘息, アトピー性皮膚炎, アレルギー性鼻炎あり.巻貝(トコブシ, SSとして売られていた通称ラパス貝.以後トコブシ[○!L]と略)を食べて55分後, 運動中に全身の蕁麻痺, 呼吸困難, 意識消失発作を起こし, 救急治療を受け数時間内に回復.3ヵ月後, 巻貝(サザエ, TC)を食べて30分後, ランニング途上にて同様症状起こり, 救急治療により, 数時間以内に回復した.自家製のトコブシ[○!L], サザエ粗抗原によるRASTスコアは4と2.ELISAによるinhibition testにより, KLHとトコブシ[○!L], サザエ間に高い共通抗原性を示したが, トコブシ[○!L]-サザエ間では共通抗原性は低かった.SephacrylG-200ゲルクロマトグラフィーによる溶出分画を用いたELISAにて.トコブシ[○!L], サザエ各々に数種の互いに異なるアレルゲンの存在が認められた.運動誘発後のFEV_<1.0>の変化では即時型の反応と血中ヒスタミンの有意の上昇を認めた.
著者
結城 敏文 奥村 康 安藤 徹 山川 浩志 須甲 松伸 灰田 美知子 奥平 博一
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.557-561, 1990
被引用文献数
9

ダニ(Dermatophagoides farinae)の主要アレルゲンDer f IIをコードする遺伝子を単離することを目的として, ダニ虫体よりmRNAを分離精製し, 対応するcDNAライブラリーを作製した.そのライブラリーから抗Der f II抗体と反応するクローンをコロニーイムノアッセイで検索し, 1600株より2株を分離した.得られたクローンよりcDNA配列部分を切り出しその塩基配列を決定したところ, 二つのcDNAはどちらも128個のアミノ酸をコードしており三つのアミノ酸残基を除いて両者は一致していた.またDer f II蛋白を精製しそのアミノ酸配列をN末端より45残基まで決定した.その配列をcDNAから想定されるアミノ酸配列と比較したところ完全に一致しており, cDNAのコードする蛋白はダニ主要アレルゲンDer f IIであると結論した.