- 著者
-
灰田 美知子
- 出版者
- 一般社団法人 日本心身医学会
- 雑誌
- 心身医学 (ISSN:03850307)
- 巻号頁・発行日
- vol.62, no.2, pp.132-138, 2022 (Released:2022-03-01)
- 参考文献数
- 16
気管支喘息(以下,喘息)は心理社会的要因の影響が多い疾患であるが,そのさまざまな不定愁訴は心理社会的要因のみならず背景に存在する副腎機能低下症(adrenal insufficiency:AI)の関与も否定できない.本来の喘息の重症度に加え,過去の副腎皮質ホルモン使用による続発性のAIがあれば,それは不定愁訴の関与因子として疑う必要がある.AIは個人差も大きく実臨床での確定診断は困難である.今回,128例の喘息患者の副腎機能検査として①コルチゾールの日内変動,②24時間尿中コルチゾール,③ACTH負荷試験を実施し,その解析を行った.喘息患者の約15.6%にきわめて重症な副腎機能低下を認めたほか,CMI,YG性格検査,TEGなどを実施したところ,AIの重症度に応じて身体的自覚症状,疾病頻度などが高く,AIが,このような不定愁訴の背景にある可能性も考慮する必要があると考えられた.